和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月17日(火)

古道の巡礼風景守ろう クラウドファンディングで世界に呼び掛け

保全が課題となっている世界遺産の熊野古道(和歌山県那智勝浦町で)
保全が課題となっている世界遺産の熊野古道(和歌山県那智勝浦町で)
 和歌山県の田辺市熊野ツーリズムビューローは、世界遺産「熊野古道」と巡礼の風景を守るため、インターネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)で支援を呼び掛けている。新型コロナウイルスの影響で、訪れる人が激減する中、4カ国語で世界に古道の魅力をPRしている。

 熊野古道の大部分は山道で、旅人の往来があることで、健全に保たれ、古道沿いの集落も維持されてきた。しかし、コロナ禍で訪れる人が減っている上、集落は過疎化が進んでいる。さらに風水害の被害が度重なり、古道が寸断されることも多くなってきた。

 ビューローは「千年以上続く巡礼道。熊野古道の自然環境と文化的景観を次の千年につなぎたい」とCFによるプロジェクトを立ち上げた。目標額は200万円。12月31日まで。

 CFは日本語、英語、中国語、タイ語の4カ国語に対応した「Japan Tomorrow」を活用。224カ国と地域からアクセスがある訪日観光メディア「MATCHA」が協力している。

 支援のコースは3千円から。5千円でオリジナルのピンバッジとステッカー、1万円では支援者の名前入りメンバーズカードなどが返礼品になっている。

 15万円では日帰り熊野古道ウオークツアー(発心門王子―熊野本宮大社)、30万円で1泊2日の体験プラン付き熊野古道ミステリーツアーがある。いずれも専任英語ガイドが同行する。海外からの支援を想定し、2023年3月まで有効にしている。

 集まった資金は熊野古道の補修作業や案内看板の設置、古道マップの制作・更新、古道補修イベント「道普請ウオーク」の開催などに活用する。

 ビューローは「コロナが落ち着いたときに熊野古道に足を運んでもらえるよう環境保全と魅力の発信に努めたい」と話している。