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2024年12月22日(日)

県発明考案表彰に紀南から3人 クオリティソフトと有本農園

右は発明賞を受賞したクオリティソフトの竹中智彦さん(右)と宮脇慎さん。左は創意工夫功労賞を受賞した有本陽平さん
右は発明賞を受賞したクオリティソフトの竹中智彦さん(右)と宮脇慎さん。左は創意工夫功労賞を受賞した有本陽平さん
 2021年度和歌山県発明考案表彰がこのほど、和歌山市の県庁であり、紀南地方からは発明賞にクオリティソフト(白浜町)の竹中智彦さんと宮脇慎さんが音声伝達システムの発明で、創意工夫功労賞に有本農園(みなべ町)の有本陽平さんが梅の品種「翠香」の香りを生かしたシロップの開発で選ばれた。


 県は毎年度、県産業の発展に寄与することを目的に表彰している。本年度は発明賞に6件10人、創意工夫功労賞に2件2人を選んだ。

 クオリティソフトは、ドローン機体への圧電スピーカーやAI(人工知能)の搭載で、災害時などに利用できる実用的な多言語アナウンス付きのドローンを開発した。

 圧電スピーカーは電力消費量が少なく、軽いため、ドローンの飛行時間が長く確保できる。また、AIによって、ドローン搭載のカメラを通じて人を検知し、自動で近づいて避難誘導できるという。

 竹中さんは「発明が県から認められたことは、今後ビジネスを進める上でありがたい。まずは県内の自治体などにこのドローンの良さを伝え、活用いただけるようになれば」、宮脇さんは「地道な実験を積み重ねてできたシステム。表彰によって広く知ってもらえるきっかけができた。改良しながらさらに良いものを作っていけたら」と話している。

 有本農園の有本さんは、農業・食品産業技術総合研究機構によって育成され、2011年に品種登録された梅の「翠香」を栽培。県の協力も得ながら、収穫や追熟のタイミングや期間を試行錯誤して、香りを最大限に引き出す加工法を考案し、業界初となる「翠香」シロップを商品化した。

 有本さんによると、消費者には「洋梨のような香りがする」「上品でおいしい」などと好評だといい「商品化に至るまで多くの方に協力いただき、感謝したい。今後も翠香が有名になるように努めていきたい」と話している。