和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年03月25日(火)

滑走路延伸に一歩 基本計画策定着手へ、和歌山県白浜空港

大韓航空の旅客機が着陸した南紀白浜空港(1月、和歌山県白浜町で)
大韓航空の旅客機が着陸した南紀白浜空港(1月、和歌山県白浜町で)
 和歌山県は2025年度、南紀白浜空港(白浜町、愛称=熊野白浜リゾート空港)の滑走路延伸実現に向け、「空港基本計画」の策定に入る。24年度の調査で、技術的には延伸が可能なことが分かったといい、国の補助金申請に向け、利用者数を増やして費用対効果の向上に力を入れる。順調に進めば、30年代半ばにも供用開始できる見通しという。


 県は滑走路を2千メートルから2500メートルに延ばすよう検討している。現状では、飛行機の重量の関係で大型機の離着陸や、燃料を多く積んだ飛行機の離陸が難しく、利用するには搭乗制限が必要になる。延伸できれば、こうした課題が解消され、より遠方の国と結ぶことが期待できる。

 このため、県は24年度、延伸の実現可能性について調査を開始。岸本周平知事は「技術的には可能だという結果が出た」として「空港基本計画」の策定に着手する考えを示した。基本計画では、滑走路を延伸した場合の施設の配置や航空機の動線などを示し、これを基に今後、地域住民に説明できる態勢をつくる。

 今後、技術面以外の問題がクリアできたとしても、数百億円の事業費が必要になる。国の補助が不可欠だが、申請には費用対効果を一定基準まで高める必要がある。

 県の目標では、白浜空港の年間利用者数を現状の約20万人から毎年2万人ずつ増やし、29年度に30万人に到達させ、国庫補助を申請する。30年度に採択を受けると、30年代半ばに供用を開始でき、羽田便の利用者が50万人以上に増える見込み。

■定期便の利用促進
空港内にオフィス

 県は、滑走路延伸を見据え、白浜空港の利用促進に力を入れる。その費用2億2千万円を計上した25年度一般会計当初予算案を、20日開会の県議会2月定例会に提案する。

 事業の一つは現状3往復で定期運航している羽田便の利用促進で、29年度の4往復化実現を目指す。羽田発便に比べ、空席が多い白浜発便の利用者に補助を出すほか、航空機の貨物室を利用して県産果物や生鮮品を首都圏に売り込む事業などを予定している。

 将来的な国際定期便就航を目指し、チャーター便の誘致にも取り組む。岸本知事は9~12日に韓国を訪問し、白浜―韓国のチャーター便をたびたび運航している航空会社「大韓航空」に定期便化を依頼した。

 また、県のサテライトオフィスを白浜空港内に設ける。岸本知事は「オール県庁で空港振興する一つの象徴としてミニ県庁を設置する」と説明。25年度から各課の副課長級全員に港湾空港振興課を兼務してもらい、羽田便の利用促進などに取り組む。

 このほか、空港利用者の利便性向上のため、今年1月5日までの2カ月間、試験運行していた「空港連絡バス」の通年運行なども予定している。