和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

高校再編計画「策定延期の場合も」 慎重論受け和歌山県教育長

 和歌山県立高校の再編整備問題について議論するため、臨時の県議会文教委員会が24日、開かれた。県教育委員会は諮問機関からの答申に基づき、本年度末を目標に、再編整備計画の策定を進めている。これに議員から「性急だ」「期間が短過ぎる」という意見が相次ぎ、宮﨑泉教育長は、議論の進行によっては、策定時期を延期する場合もあるという考えを示した。

 県教委は8月上旬、諮問機関の「きのくに教育審議会」から、15年後には中学卒業生がいまより3割減るため、全日制29校を将来的に3分の2の20校程度にするのが適正だとの答申を受けた。この答申に基づく具体的な「再編整備実施プログラム」案を12月末までに作成し、県民から意見を募った上で、本年度末までに策定するとしている。

 これについて県教委は県内5カ所で地方別懇談会を実施して説明。反響が大きく、さらに20以上の団体から要望があり、11月下旬まで個別懇談会を開催する。

 文教委では、藤本真利子議員(改新、和歌山市)が「県民が本当に強い関心を持って、進捗(しんちょく)状況を見ていることを県教委は認識してほしい。県民の意見を聞いて合意形成に至るまでには、時期があまりも短過ぎる」とただした。宮﨑教育長は「拙速に進めるということは考えていない。まず案を作ることは了解いただき、教育委員会の意見を見て、検討の対象にしてほしい」と理解を求めた。

 一方、濱口太史議員(自民、新宮市)は「新宮市では、地元から高校生の流出に拍車がかかっており、早く再編してほしいというのが地域の声で、再編に反対ばかりではない。しかし、希望や立ち位置によって意見が違うので、丁寧な印象を与えながら進めてほしい」と要望。その上で「(案作成からプログラム策定までの)期間が短過ぎるという声は聞く。案を出すのはいいが、最終決定の期間を延ばすのは不可能か」と聞き、宮﨑教育長は「決して不可能ではない」と答えた。

 答申では、1学年の適正規模をこれまでの4~8学級から6学級に改めるべきだと示されたことについて、清水博行教育企画監が、校長らから、6学級が理想的だという意見が多数あり「目標値」として答申されたと説明。「すべての学校を6学級にするのではなく、極力多くしようということ。地域の問題などを踏まえ、結果的に2~7学級の学校が残るのだろうと見込んでいる」と話した。

 坂本登議員(自民、日高郡)は「6学級にハードルを上げたのは気になる。学級数に幅を持たすなら、不信感を持たれないよう、そう文書で示してほしい。小規模校で成功している他県の例も見てほしい」と求めた。再編整備は「和歌山県がひっくり返るような大きな問題だと思っている」とも言い「学校がつぶれると、その地域は過疎化が一層進む。地元にとっては学校は大事だということを頭に入れてほしい」と要望した。