和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月16日(月)

貸店舗で「おむすび」販売 Iターン女性が新事業に挑戦

シェアショップで濵中弥生さん(右)と出店のついての打ち合わせをする高柳沙月さん(左)と田中那津美さん=和歌山県すさみ町周参見で
シェアショップで濵中弥生さん(右)と出店のついての打ち合わせをする高柳沙月さん(左)と田中那津美さん=和歌山県すさみ町周参見で
 新型コロナウイルスの影響で業務の見直しや新規事業を立ち上げる動きが広がる中、和歌山県すさみ町周参見の飲食店が、貸店舗や弁当販売など4事業への転換を図っている。貸店舗の利用第1号として、Iターンの女性2人が20日から、町内で事業を始める足掛かりにするため特産品を具にした「おむすび」を販売する。

 事業転換に取り組むのは、同町周参見の堀切地区で昼はカラオケ喫茶、夜は貸し切り宴会場を営業していた「ごえんやグループ」(濵中弥生代表)。店舗は「喜多ろう」という名称で地域のお年寄りらに親しまれてきたが、コロナ禍で2月下旬から休業した。その間、事業転換について検討し、シェアショップ(貸店舗)、弁当販売や仕出しなどを含めた飲食店、海産物を中心とした特産品の販売、一棟貸し宿の4事業を展開することを決めた。

 濵中さん(60)は「コロナで時代は変わると痛感した。シェアショップは、商売を続けたい人や商売を始めたい人、副業などいろんな目的で利用してもらえれば」と語る。

 ごえんやグループの貸店舗でおむすびを販売するのは、古座川町小川にある名勝「滝の拝」近くで田舎暮らしを体験できる宿を経営する高柳沙月さん(27)と、その知り合いで奈良県下北山村からすさみ町に拠点を移したばかりの田中那津美さん(29)。ともに異業種からの挑戦。すさみ町内で事業を始めるきっかけにしたいという。

 販売期間は20、21日と29、30日の計4日間。「旅するおむすびセット」として各日限定30食、持ち帰りのみ。時間は各日午前11時~午後2時ごろで、売り切れ次第終了する。おむすびの具は、すさみ町産のアジ、下北山村特産の漬物「下北春まな」、古座川町平井産のユズみそ。20、21日はおむすび3種とおかず1品で650円、29、30日はおむすび2種とおかず1品で500円。

 大阪府出身で2年前に宿を開業した高柳さんは「コロナの影響で3カ月間休業した。その間に2人でこれからの方向性についてじっくり考えることができた」と話す。下北山村では特産品のプロモーションなどの仕事をしていた神戸市出身の田中さんは「おむすびは海や山の産品を出すことができる。地産地消にこだわりたい」と話している。

 貸店舗は、JR周参見駅から約1・3キロ北の町道沿いにある。問い合わせはごえんやグループ(090・6601・5008)へ。