和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年01月15日(水)

紀南に全寮制工業高校を 宇宙産業の人材を育成、和歌山県知事

小型ロケット打ち上げ事業や宇宙産業集積などについて話し合う「国会議員座談会」(13日、和歌山市で)
小型ロケット打ち上げ事業や宇宙産業集積などについて話し合う「国会議員座談会」(13日、和歌山市で)
 岸本周平和歌山県知事は13日、串本町での小型ロケット打ち上げ事業に関連し、地元への宇宙産業集積を進めるため、紀南に全寮制の工業高校を設けて従事する人材を育成したい考えを示した。和歌山市内で同日開かれた県内ゆかりの国会議員らによる座談会にゲスト参加して語った。


 串本町の民間射場「スペースポート紀伊」は昨年、稼働を開始。3月と12月に小型ロケット「カイロス」を打ち上げたが、人工衛星を軌道投入する目的は達成できなかった。

 岸本知事は「いずれはうまくいく」と語った上で「需要は相当ある」として、2030年代に年間30回打ち上げられることを念頭に、紀南に組立工場を誘致したいとした。

 ただ、人材確保に課題があるとして「紀南に工業高校をつくる。1学年40人くらいからスタートし、全寮制にして全国から呼ぶ」という構想を示し「そこまでしないと工場は来てくれない」と述べた。

 ロケット会社「スペースワン」の出資会社の協力や、串本町内にある串本古座高校の旧古座校舎の活用も視野に入れる。すでに阿部俊子文部科学相にもこの話を伝えたという。

■今後に期待の声

 県は南紀白浜空港の滑走路延伸も目指していることから、岸本知事は「滑走路が延びて、世界から(串本町へ)打ち上げに来る。その時には紀伊半島一周高速道路がつながっている。30年ごろの和歌山の南の方は素晴らしいことになるのではないか」と語った。

 これを受け、鶴保庸介参院議員(自民)は、地元に組立工場のほか、宿舎や研究施設、素材工場などの設置も見込めるとした。人材確保については、育成が理想だが、それまでは連れて来てもらう必要があるとし「二地域居住しやすくなるような法案が昨年通った。ソフトの整備をしていきたい」と話した。

 浮島智子衆院議員(公明)は「県内小中学校では宇宙の特別授業が積極的に取り入れられている。和歌山から素晴らしい人材を生んでいければいいと思う」、山本大地衆院議員(自民)は「宇宙ビジネスは2040年には100兆円を超えるといわれる。串本という場所があることが、和歌山の大きな強みになる」と期待した。

 石田真敏衆院議員(自民)は、2度の打ち上げで、人工衛星の軌道投入に至らなかったことについて「一発で上がることはなかなかない。皆が理解をして、応援することが大事」と呼びかけた。

 このほか、南紀白浜空港の滑走路延伸事業や能登半島地震を受けた防災対策見直し、地域振興などについても話し合った。

 世耕弘成衆院議員(無所属)と林佑美衆院議員(維新)は、座談会を欠席した。