和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月16日(月)

「梅の日」で神社に梅奉納 新型コロナの終息も祈願

青梅を奉納する紀州梅の会梅干部会の濱田洋部会長(6日、京都市の下鴨神社で)=紀州梅の会提供
青梅を奉納する紀州梅の会梅干部会の濱田洋部会長(6日、京都市の下鴨神社で)=紀州梅の会提供
神事でたるに入った梅に酒を注ぐ九鬼家隆宮司(6日、和歌山県田辺市本宮町で)
神事でたるに入った梅に酒を注ぐ九鬼家隆宮司(6日、和歌山県田辺市本宮町で)
梅の実
梅の実
 「梅の日」の6日、日本一の梅産地の関係者らが、和歌山県田辺市やみなべ町の神社で記念式典を開き、京都市の神社では採れたての梅を奉納し、梅産業の発展と新型コロナウイルス感染症の終息を祈願した。今年は、新型コロナの影響で参列者を減らし、東京都内での行事は中止している。

 1545年に京都・賀茂神社に後奈良天皇が梅を献上したという故事にちなみ、梅産地の市町やJAなどでつくる「紀州梅の会」が、毎年開いている。梅は、薬として重宝され、災いや疫病を追い払い、福を招く贈り物だったといわれており、同会は梅に感謝するとともに、人々の健康を祈った。

 田辺市本宮町の世界遺産・熊野本宮大社では、紀州梅の会の構成団体である「紀州田辺梅干協同組合」の関係者らが、南高梅を奉納した。

 今年の記念式典は新型コロナウイルスの影響で例年より規模を縮小し、組合の役員や行政、JA紀南の関係者ら約25人が参列した。

 本殿前で「梅漬けの儀」などを営み、九鬼家隆宮司(63)と参列者が紅色に染まった南高梅計約20キロをたるに入れ、最後に九鬼宮司が塩と日本酒を入れて漬けた。この日漬けた梅は紀州梅の会がいったん持ち帰り、梅干しにした上で、秋に改めて奉納するという。

 九鬼宮司は「熊野はよみがえりの地。平安の時代も疫病がはやり、多くの人々が熊野へ足を運んだ。健康に良い梅を多くの方に知ってもらい、食べていただきたい」とあいさつ。組合の中田吉昭理事長(60)も「熊野の神様に梅産業の発展とともに、新型コロナウイルス禍の一日も早い終息を祈願した。紀州の梅が日本全国で多くの人の健康に役立つことを願っている」と梅の効能をアピールした。

 境内では個包装した梅干しが参拝者に振る舞われた。

 一方、京都市では、紀州梅の会梅干部会の濱田洋部会長や紀州田辺・みなべ梅干協同組合若梅会の会員らが下鴨、上賀茂の両神社に参拝し、南高梅を10キロずつ奉納した。毎年実施している、平安衣装を着ての行列はしなかった。

 東京都内での梅フェア開催や首相官邸への訪問は中止したが、政府首脳には梅干しなどの梅加工品を郵送で贈った。