和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年04月25日(金)

岸本知事が死去 公舎で倒れ意識戻らず、和歌山

開幕した大阪・関西万博の「和歌山ゾーン」で、スイーツを試食する岸本周平知事(13日、大阪市で)
開幕した大阪・関西万博の「和歌山ゾーン」で、スイーツを試食する岸本周平知事(13日、大阪市で)
 和歌山県の岸本周平知事(68)が15日午前9時33分、和歌山市内の病院で死去した。死因は敗血症性ショック。14日朝、市内の知事公舎で、意識不明の状態で倒れているのを秘書らが発見、救急搬送され、集中治療室で治療を受けていた。


 県によると、秘書と運転手が14日午前10時15分ごろ、予定時間になっても出てこないため、公舎内に入ったところ、寝室で倒れているのを発見した。午後は新宮市で住民と意見交換する「タウンミーティング」の予定だった。

 県によると、岸本氏は11日に腰痛を訴え、12日の大阪・関西万博の開会式出席をキャンセル。13日は万博「和歌山ゾーン」のオープニングに出席し、関係者とともに「大みこし」を担ぎ上げるなどしたが、他の万博の催しなどは知事室長が代理出席した。

 岸本氏は和歌山市生まれ。東京大学法学部を卒業後、旧大蔵省(財務省)に入省。トヨタ自動車を経て、2009年から衆院議員を務めた。経済産業相政務官や国民民主党幹事長代行などを歴任。5期途中で辞任し、22年の知事選で初当選した。知事就任後は、県財政の健全化や県職員の働き方改革、能登半島地震を受けた防災対策、南紀白浜空港(白浜町)の振興などに尽力した。

 15日、県庁で記者会見した宮﨑泉副知事は「心からご回復を願っていたが、残念でならない。本当に熱心な知事だった。常に弱い人の立場に立って一人一人に寄り添って、笑顔にすることを最優先に取り組まれた。短い間だったが、大変多くの貢献をされたと敬意を表したい」と話した。

■副知事が職務代理

 宮﨑副知事が15日から、知事の職務代理者を務める。

 次の知事選は、県選挙管理委員会が職務代理者からの通知を受領した日から50日以内に執行される。

 通夜は16日午後7時から、告別式は17日午後1時~2時、いずれも和歌山市吹上2丁目3-36の吹上ホールで営む。喪主は妻の香織さん。香典、供物、供花は辞退。県は後日、県民葬でお別れの会を執り行う予定。

■首長ら悼む声

 岸本知事の突然の訃報に、紀南の首長らから相次いで追悼の声が聞かれた。

 田辺市の真砂充敏市長は「先日、うつほの杜学園小学校のお披露目会では素晴らしいご祝辞を頂き、これからのまちづくりについても意見交換をしたところだった。県の発展のため、日夜精力的に活動されていた岸本知事のご逝去は本当に残念でならない」とのコメントを出した。

 岸本知事は、南紀白浜空港の振興や、串本町での民間ロケット打ち上げ事業を推進した。

 白浜町の大江康弘町長は「白浜空港を中心に、白浜のことをとても大切に考えてくれていた。これから一緒にいろいろとやっていこうという矢先だったので、本当に残念。人の痛みが分かる政治家だった」。串本町の田嶋勝正町長は「ロケット事業にとても力を入れてくれ、関連して工業高校を串本に持ってきたいという話もしてくれていた。歴代の知事の中で一番気さくで話しやすかった。本当に残念」と述べた。

 二階俊博前衆議院議員は「長年にわたり国政・県政の両面でお付き合いさせていただいたが、何よりも和歌山県を思う熱い情熱に深い敬意を抱いていた。あまりにも突然の訃報に、深い悲しみと大きな喪失感を覚えている」と、コメントを出した。