和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年05月13日(火)

白浜にファミリーホーム 子どもの養育環境充実へ、和歌山

今月に開設されたファミリーホーム「ruamるあむ」と養育里親の小澤友佳子さん(中央)ら=和歌山県白浜町富田で
今月に開設されたファミリーホーム「ruamるあむ」と養育里親の小澤友佳子さん(中央)ら=和歌山県白浜町富田で
 和歌山県白浜町富田に今月、実親と暮らせない子どもを養育する「ファミリーホーム」が誕生した。紀南地方では過去に新宮市内にあったが、今はなく、唯一の場所となる。養育環境の充実に向けて期待される。


 田辺市内の児童養護施設で働いていた小澤友佳子さん(53)が代表理事を務める一般社団法人「ruamるあむ」が運営する。ホームの名称も法人名と同じ。

 るあむは草堂寺近くにあり、法人がクラウドファンディングで支援を募り民家を改修した。母屋に子ども部屋6室や居間、台所、風呂、トイレ、宿直室を備え、離れにはコミュニティースペースと事務所を設けている。図書コーナーもつくる予定で、地域の人に利用してもらえるようにしたいという。

 受け入れる子どもの定員は6人で、現在は幼児2人が暮らしている。

 小澤さんは海南市生まれで、御坊市育ち。タイの山岳民族の生徒寮で働いたり、東京都内の学童保育所で指導員をしたりした後、2001年に田辺市龍神村に移住した。06年に夫婦で豆腐の製造販売を始めたが、子どもに関わる仕事をしたいと17年に市内の児童養護施設で働くようになった。その経験から、より人のぬくもりを感じられるファミリーホームの開設を決意した。「子どもたちが大人に見守られて安心して暮らし、生きていくために必要な力を身に付けて飛び立ってもらえるようにしたい。このホームが地域の子育ての拠点になればと思う」と話す。

 るあむでは小澤さん以外に2人が養育や調理を補助する。その一人で副代表を務める寒川知香さん(51)=田辺市文里1丁目=は「子どもたちの居場所になればと思う。自分らしさを出せる子どもに育ってもらえる環境づくりをしたい」と語る。

 ファミリーホームは、里親と同じように自分の家に子どもを迎えて養育するため、児童養護施設よりも家庭的な生活ができるという。養育する子どもの数は里親が4人までなのに対し、6人までとなっている。県内では御坊市以北に8カ所ある。

 るあむでは、一時保護や里親の休息支援なども受け付けており、里親を支援する関係者は「実親と暮らせない子どもの支援が紀南でも充実するかと思う」と話している。