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2024年12月23日(月)

読解力、記述力に課題 全国学力テストで和歌山県内公立中学校

全国学力テスト 和歌山県内と全国との平均正答率の差
全国学力テスト 和歌山県内と全国との平均正答率の差
 文部科学省は29日、全国学力テストの和歌山県内公立校の結果を発表した。小学校は全国平均並みだったが、中学校は国語、数学とも読解力や記述力に課題があり、全国平均を下回り続けている。県教育委員会は「小学校は学力や授業への意識に確かな改善と成果が見られたが、中学校は一層の改善が必要」としている。


 テストは4月にあり、小学6年生約6600人、中学3年生約6100人が受けた。小学校国語の正答率は68%(全国68%)で全国順位は14位、算数は64%(63%)で過去最高の8位、中学校国語は55%(58%)で44位、数学は50%(53%)で33位だった。

 和歌山県は以前から特に国語が弱く、基礎を問う「A問題」と応用を問う「B問題」に分かれていた2014、16年度、小学校では「国語A」で全国最下位となった。ただ、その後、さまざまな対策を講じ、近年は全国平均並みを維持している。

 一方、中学校は「A問題」「B問題」を統合した19年度以降、新型コロナウイルスの影響で中止の20年度を除き、全国平均より3~4ポイント低い状況が続いている。数学は19年度以降、全国平均より1~2ポイント低い状況だったが、今回は差が開いた。

 県教委は、中学校の国語について自分の考えをまとめたり、要約したりすること、数学についてはデータ分布の傾向や問題解決の方法を説明する問題に弱さがあり、いずれも記述式問題に課題が見られたとした。読解力や表現力、書く力が弱いためで、これは長年の課題となっている。

 ただ、テストと同時に受けたアンケートで「授業の内容がよく分かるか」の問いに肯定的に答えた割合は、国語は84・8%、数学は77・7%と高く、いずれも全国より2ポイントほど上回った。このため、県教委の義務教育課は「学習指導要領に定められた指導事項を押さえた授業が行えていないのではないか」と分析する。

 小学校の国語は全体的には全国平均レベルだが、応用的な問題では、やや下回る傾向にあるとし、中学校で難易度が上がることで、この課題が顕著になっているともみている。

 県教委は22年度から中学校を対象に学力向上のプログラムを実施。県の学習到達度調査の回数を増やしたり、教員研修を強化したり、さまざまな取り組みをしているが、同課は「中学校の課題は、なかなか改善できずにいる」と話している。

 また、アンケートでは、9・6%が学校の授業以外の平日、勉強を「全くしない」と回答。全国より3ポイント多かった。県教委は、全教科の授業で読解力を付けられるようにすることなども含めて対策を検討するという。