和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月21日(土)

二階氏、次期衆院不出馬へ 地元和歌山「時代終わる」驚きと感謝

事務所前に張られている二階俊博氏のポスター。25日午前、事務所は不在だった(和歌山県田辺市稲成町で)
事務所前に張られている二階俊博氏のポスター。25日午前、事務所は不在だった(和歌山県田辺市稲成町で)
 自民党の二階俊博衆院議員が、次期衆院選に立候補しないことを明らかにした。国政の中枢で長く存在感を発揮した一方、最近は党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡って批判を受けていた。突然の意向表明に対し、選挙区内では驚きや、これまでの活動に対する感謝のほか、今後の政界に注目したいという意見が聞かれた。


 和歌山県田辺・西牟婁の1市3町の首長は「随分と支援していただいた」「本当にお世話になった」と地元への貢献に対する感謝を口にした。党幹事長の在職日数は歴代最長で、全国から陳情や要望を受ける立場だったが、首長が訪ねると必ず時間をつくり、地元の状況を尋ねた。その場で関係省庁へ自ら電話することもあったという。

 田辺市の真砂充敏市長は「本人の判断を重く受け止めている。地域のために長年活躍いただいたことに敬意を表したい」と述べた。一方で、一連の政治資金問題については「悪しき慣習を一新して新しい政治にしないと、国民の信頼が得られない。今後の政治にとって転換点になると思う」と話した。

 関西有数の観光地・白浜町の井澗誠町長は、全国旅行業協会の会長でもある二階氏が「かけがえのない存在」だったという。

 すさみ町の岩田勉町長は「会うと『カツオは釣れているか』などと、いつも町のことを心配してくれた。あの人ほど和歌山のことを大切にする人はいない」と語る。南海トラフ巨大地震で大きな被害が想定されている中、防災対策や高速道路の整備などでアドバイスを受けてきたという。「どれも現在のまちづくりにつながっており、大変ありがたかった」

 上富田町の奥田誠町長は、2019年ラグビーワールドカップの際に町がナミビア代表の合宿地になったことに触れ「チームが来て終わり、ではなく、その後の町とナミビアの関係を築くためのつながりをつくってくれた」と振り返った。

■「一つのけじめ」 岸本知事

 岸本周平知事は「国政の中枢で活躍され、和歌山県政について大きな応援を頂いた。政治とカネの問題で国民の信頼を失ったことの責任を取られるとのことで、選挙に出ないというのは政治家にとって重い判断。一つのけじめになったと思っている」と話した。

■「評価難しい」の声も 有権者

 有権者からは、さまざまな声が聞かれた。

 田辺市の会社員男性(55)は「不出馬を決めたのは賢明だと思う。人口も税収も減る中、政治家は考え方を変えていかなくてはならない。一つの時代が終わったのだと感じる」。

 自民支持という同市の無職男性(76)は「死ぬまでやるようなことを言っていたので、びっくりした。二階さんがいなくなれば、世耕(弘成)さんも大変な状況の中、和歌山の政界は混沌(こんとん)とするのではないか」と話した。

 「年齢的にも退いて当然」と話す白浜町の会社員男性(57)は「紀南の発展への貢献は大きかった一方、政治とカネの問題がつきまとうイメージもある。だからこそ力を発揮できた部分もあるだろうし、評価は難しい。次の選挙は誰が選ばれるのか。地域の選択がより重要になるのではないか」と語った。

 田辺市の農家男性(48)は「これまで梅や農業を応援してくれていたと思うが、二階さんだけでなく、世耕さんの立場も不安定な中、これから地域農業が厳しい時代となっていくと思うので不安だ」と話した。