和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

【動画】セッコク咲く一枚岩に「守り犬」の影

「古座川の一枚岩」に現れた、耳を立てて右側を向いた犬のように見える影(17日午後4時55分、和歌山県古座川町相瀬で)
「古座川の一枚岩」に現れた、耳を立てて右側を向いた犬のように見える影(17日午後4時55分、和歌山県古座川町相瀬で)
岩壁で白い花を咲かせているセッコク(和歌山県古座川町相瀬で)
岩壁で白い花を咲かせているセッコク(和歌山県古座川町相瀬で)
 和歌山県古座川町相瀬にある国の天然記念物「古座川の一枚岩」の岩壁に17日の夕方、里の猟犬が魔物を追い払ったという民話にちなみ「一枚岩の守り犬」として親しまれている影が現れた。春と夏の限られた期間だけ見ることができる現象で、季節の風物詩として親しまれている。

 古座川の一枚岩は高さ約100メートル、幅約500メートルで、南紀熊野ジオパークの見どころ「ジオサイト」の一つ。地表に現れた一枚の岩盤としては日本最大級として知られている。

 民話によると、昔、岩が大好物という魔物が岩を食い荒らしながら古座川をさかのぼり、一枚岩にたどり着いた。いよいよ食べようとしたところ、里にすむ猟犬が襲いかかって魔物を追い払ったことから、一枚岩は穴だらけにならずに残ったといわれている。

 「一枚岩の守り犬」の影は毎年4月19日前後と8月25日前後の数日間出現。夕日を受けて一枚岩に浮かび上がった対岸の山影が、犬が魔物に向かってほえているように見えるとして有名になった。

 17日の夕方は快晴に恵まれ、午後5時前には耳を立て、向かって右側を向いた犬のようにも見える影が岩壁に浮かび上がった。

 撮影に訪れていた、交流サイト(SNS)で古座川の魅力などを発信している山本隆寿さん(69)=古座川町明神=は「限られた期間だけ見られる自然がつくり出した壮大な影絵。ぜひ見に来てほしい」と話していた。

■巨岩彩る白い花 セッコクが見頃

 「古座川の一枚岩」の岩壁で、セッコク(ラン科)の白い花が見頃を迎えている。

 県のレッドデータブックでは絶滅危惧1B類に分類。暖地の森林の岩上や老木に着生する常緑の多年草で、茎は高さ5~30センチ。葉が落ちた茎の上部の節に、白色か淡紅色を帯びた花が1、2個開く。和名は漢名「石斛」の音読み。本州、四国、九州、沖縄に分布する。

 一枚岩では岩壁のあちらこちらで白い花が咲いているのを、遠目に見ることができる。対岸にある道の駅「一枚岩monolith(モノリス)」の店員、土井友斗さん(28)は「今年は咲くのが早い。店内には望遠鏡も置いているので、気軽に声をかけていただけたら」と話している。