和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

【動画】巨岩に映像くっきり 一枚岩スクリーンに600人鑑賞

ようやく開催が実現した「大地を見上げる映画祭」(和歌山県古座川町相瀬で)
ようやく開催が実現した「大地を見上げる映画祭」(和歌山県古座川町相瀬で)
映画祭のスクリーンとして活用した国の天然記念物「古座川の一枚岩」(ドローンで撮影)
映画祭のスクリーンとして活用した国の天然記念物「古座川の一枚岩」(ドローンで撮影)
 和歌山県古座川町相瀬にある国の天然記念物「古座川の一枚岩」をスクリーンに映画を楽しむイベント「大地を見上げる映画祭vol・1 HYGGE(ヒュッゲ)」が29日にあり、満天の星の下、訪れた人たちが巨岩に映し出された映像を楽しんだ。「ここでしかできないイベントで町を盛り上げたい」と企画したが、これまでコロナ禍や天候の影響で何度も延期。5度目の挑戦で、ようやく有観客での開催が実現した。


 古座川の一枚岩は、南紀熊野ジオパークの見どころであるジオサイトの一つ。高さ約100メートル、幅約500メートルの大きさを誇り、地表に現れた一枚の岩盤としては日本最大級として知られる。

 映画祭は、一枚岩の古座川対岸にある道の駅を運営している団体の代表である田堀穣也さん(35)=古座川町長追=が実行委員長を務める実行委員会が主催。2020年10月からクラウドファンディングも活用して高性能のプロジェクターやスピーカーを購入するなどして準備を進め、当初は21年3月の開催を計画していたが、コロナ禍のため大勢が集まるのは難しいと判断。「Vol・0」と題してオンラインで開いた。

 その後、その年の10月に初の映画祭を開くことを計画したものの、再びコロナ禍で断念し、今年3月にも計画したが、感染拡大を受けてさらに5月に延期。その際も天候の影響で開催できず、この10月を目指して取り組んでいた。

 前回はコロナ禍で来場者数を制限するために入場券が必要だったが、今回は自由に入場できるようにして開き、主催者によると約600人が来場。約20の事業所が参加して飲食や雑貨などを販売したマルシェも楽しみながら、日が暮れるのを待った。

 午後5時45分ごろから、一枚岩に映画祭への思いや古座川の人、自然、文化などを紹介する映像が横約40メートル、縦約25メートルの大きさで映し出された後、アニメ映画「リメンバー・ミー」を上映。家族4人で訪れた新宮市の貝岐紀幸さん(41)は「プロジェクターを購入するためのクラウドファンディングの時から応援しており、ずっと楽しみにしていた。諦めずに開催してくれたことが感慨深いし、今日は来ることができて良かった」と笑顔を見せた。

 田堀実行委員長は「今回5度目の正直で、コロナ禍や天候などいろんなことがあったが、たくさんの人に応援していただいたことの感謝を伝えたいという思いがあり、やっと開催できてとてもうれしい。『この町、いいんやで』というポジティブに考える気持ちを広げるためにやっているイベントなので、1年に1回か2年に1回かは分からないが、続けていくことを目標に今後もやっていけたら」と話していた。