和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

懐かしの味楽しんで ドライブインの厨房で腕振るう

厨房に立つ古久保清子さん(和歌山県田辺市龍神村広井原で)
厨房に立つ古久保清子さん(和歌山県田辺市龍神村広井原で)
 和歌山県田辺市龍神村広井原に9月にオープンしたドライブイン「龍の故郷(ふるさと)」で、厨房(ちゅうぼう)のスタッフとして働いている古久保清子さん(81)=龍神村西=は、昨年まで龍神村で長年愛されてきた飲食店を経営し、龍神村らしい昔ながらの食材を使ったこだわりの料理を提供していた。ドライブインでも腕を振るっており、お客さんからは「懐かしい」と好評だ。


 古久保さんは約40年間、龍神村西で飲食店「味福」を営んでいた。当初はお好み焼き店としてスタートしたが、お客さんの要望に応えるうちにレパートリーが広がり、家庭料理や仕出し弁当も提供していた。食べた人に懐かしんでもらえたらと、龍神村ならではの食材を使ったフキのつくだ煮や煮物料理も作っていた。

 例えば、昔から龍神村の家庭で冬に作られていたという、輪切りにしたダイコンの寒干し。今では作っている家は少なくなっているが、古久保さんは毎年この寒干しを手作りしている。「気温に左右されるので、作るのは結構難しい。これを上手に作れるのが私の自慢」と笑う。

 ドライブインでも、開店当初からお手製のダイコンの寒干しを使った煮物料理を、定食や弁当の一品として提供。食べた人からは「懐かしい」と評判で、「これは味福の味だ」と気付いてくれた人もいたという。

 ドライブインで働くことについて、古久保さんは「料理が好きなので、自分の性に合っている」と話す。夫の陽一さんが他界し、自身が高齢だったこともあって店を閉めたが、何か体を動かすことをしないといけないと考えていた時に、知人から声をかけてもらいドライブインで働くことを決めた。「懐かしい、おいしいと喜んでもらえるのがうれしい。今は1人暮らしだが、張り合いを持って幸せに生活ができている。ありがたい」と話す。

 今は厨房で煮物料理を担当。他のスタッフにも作り方を覚えてもらうため、長年の経験で培ってきた味付けや作り方のこつ、出来上がったときの色合いを考える大切さなどを教えている。「みんな優秀なスタッフなので、すぐ覚えてくれる。うれしい半面、寂しい気持ちもあるが、みんなも上手に作れるようになってもらえたら」と語る。

 ドライブイン「龍の故郷」の営業時間は午前8時~午後6時。日によって変わる場合もあるが、冬季は午前9時~午後5時。モーニングは午前11時まで。ランチは午前11時~午後3時。木曜定休。12月31日~1月4日は休み。