和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月21日(木)

新宮に木質バイオマス発電所 県内最大

県内最大級の発電出力を誇る木質バイオマス発電所=和歌山県新宮市佐野で
県内最大級の発電出力を誇る木質バイオマス発電所=和歌山県新宮市佐野で
 和歌山県新宮市佐野の新宮港工業用地で、県内最大の発電出力がある木質バイオマス発電所が稼働した。22日に竣工(しゅんこう)式があり、事業を手がける「エフオン」(東京都)の島﨑知格社長は「この発電所が、和歌山の木材関連産業に活気が戻るきっかけになれば」と展望を語った。


 約5万3千平方メートルの敷地に、約120億円を投じて発電出力1万8千キロワットの発電所や木質チップ製造工場などを整備した。当初は今春に稼働させる計画だったが、2月の試運転中に不具合が生じ、延びていた。8月から稼働しており、生じた電気は全てを関西電力送配電へ売っている。エフオンは2018年、市から約8億円で用地を購入。19年10月に着工した。

 この発電所では、年間で約20万トンの木質チップを使う見込み。うち2割ほどを紀南から仕入れるが、残りは四国や九州などから船で運んでくる。その分だけコストもかかるため、島﨑社長は「3、4年は思うように利益が上がらないと思う」と明かしつつ「利益が出るのは、地元材の割合がもっと増えた時。そんな未来を願いたい」と話した。

 竣工式には仁坂吉伸知事ら約60人が参加。式後のあいさつで、仁坂知事は「今後いろんなことが起こると思うが、新宮市や地元と一緒にもり立てていきたい」などと語り、田岡実千年市長は「多岐にわたる産業への波及効果や雇用創出につながっており、本当にありがたい」と感謝した。

 県によると、稼働中の木質バイオマス発電所はエフオンの施設を含め4カ所。御坊市でも民間企業による計画があり、25年の運転開始を目指している。