和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月21日(土)

工業用地の土中から産業廃棄物 新宮市、原因究明で議会に百条委

掘削土から産業廃棄物が見つかった木質バイオマス発電所の建設現場。廃棄物が混入した土砂が積まれ、青いシートが掛けられている(25日、和歌山県新宮市佐野で)
掘削土から産業廃棄物が見つかった木質バイオマス発電所の建設現場。廃棄物が混入した土砂が積まれ、青いシートが掛けられている(25日、和歌山県新宮市佐野で)
 和歌山県新宮市の田岡実千年市長が25日、市議会の本会議で、木質バイオマス発電所建設のため業者に売却した同市佐野の新宮港第2期工業用地から産業廃棄物が見つかったと報告した。廃棄物の処理は市が行うとしており、多額の費用が見込まれる。市議会は同日、原因と責任の所在を明らかにするため地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委員会)を設置した。

 廃棄物が見つかったのは、市が2018年9月に約8億円で売却し、現在、木質バイオマス発電事業に取り組んでいる「エフオン」(東京都)のグループ会社「エフオン新宮」が、発電所建設工事をしている区画(5万2823・15平方メートル)の一部。工事の際に、土中からコンクリートがらや建設資材の「溶融スラグ」とみられるものが見つかった。ほとんどが地表から深さ数十センチの場所。現場に積み上げている廃棄物が混入した土砂は約6500立方メートルに上っており、処理にかかる費用は現在積算中という。

 同社から早急な撤去を求められており、田岡市長は市議会の本会議で「市が責任を持って処理することが必要であり、工期に影響が出ないよう、早期に土砂の移設を行い、適正に処理していきたいと考えている」などと報告した。

 第2期工業用地は、同市土地開発公社(2012年度解散)が1998年から2006年にかけ、公共事業の残土などを活用して埋め立てた。廃棄物が混入した経緯は、現時点では不明という。

 田岡市長からの報告を受け、市議会は同日、百条委員会(7人)を設置する決議案を全会一致で可決。委員長は決議案の提出者である大西強議員(無)、副委員長は上田勝之議員(無)。

 大西委員長は「撤去費用は1億円規模になることが想定され、市民に莫大(ばくだい)な負担を強いることになる。しっかりと原因と責任の所在を解明したい」と話した。今後、当局に資料提供を求めたり、証人喚問をしたりする方針という。

 この問題について、田岡市長は「このようなものが埋まっていることは予想していなかった。事業者に正常だとして買っていただいた土地であり、市の責任で処理をしなければならないと考えている。当局としても原因を調査するし、委員会でも正確にお答えしていきたい」と話している。

■クーポン券事業を撤回 市長「協議不足」

 新宮市議会は25日、6月定例会に当局から提案された補正予算案など議案12件を可決・承認するなどして閉会した。

 一方、市は18日に追加提案していた、新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ消費を喚起するため、市内の店で使える千円分のクーポン券を全世帯に配る事業を盛り込んだ一般会計補正予算案について「庁内の協議不足」などとして撤回した。