和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

母子の歩み絵画に 自閉症の長男と2人展

初めて母子2人で作品展を開く和田友子さんと長男の蒼大君(和歌山県田辺市南新町で)
初めて母子2人で作品展を開く和田友子さんと長男の蒼大君(和歌山県田辺市南新町で)
 和歌山県田辺市南新町のギャラリー「ユリイス」で22~25日、イラストレーター和田友子さん(42)と長男で自閉症のある蒼大君(6)=田辺市あけぼの=の絵画2人展「母と息子の記録」がある。絵画を通じ感情を表現したり、心を落ち着かせたりしてきた母子の歩みも伝わる展示になるという。入場無料。


 友子さんは「tanomeri art work」名義で、透明感ある青色をベースにした抽象画や猫のイラストをメインに描いている。母子一緒の展示は今回が初めて。

 蒼大君が絵を描き始めたのは2歳半ごろ。言葉の遅れから感情のコントロールが難しく、暴れたり、奇声を上げたりすることが増えた。気持ちを整えてもらおうと与えたのが、自宅に多数あるキャンバスだった。

 すると、アクリル絵の具を使って思い切り絵を描き始めた。感情を吐き出したような抽象的な作品や、しっかり形を捉えた作品、空想の動物まで。表現の幅も広がってきた。「親のフィルターがあるにしても、誰かに見てもらいたい作品」と感じた友子さんが、発表の場を企画した。

 展示作品はF0(18×14センチ)からF50(116・7×91センチ)まで大小さまざま。蒼大君は10点ほど出展する。テーマはもちろん、サイズも絵の具の色も、全て自分で決めた。「神獣も猫も月も、大きな絵(F50)も。一番好きな作品ばかり。みんなに見てほしい」と張り切っている。

 友子さんは約20点を出展。猫の絵に加え、初めて子どもをテーマにした作品にも挑戦している。「大変なことはたくさんあるけれど、2人とも絵に救われてきた。作品を楽しんでもらうのはもちろん、子育てに悩んでいる人といろいろな話ができる機会になればいい」と期待する。11月には親子向けに絵画のワークショップを開きたいという。

 2人展は各日とも午前11時~午後5時。問い合わせはユリイス(0739・33・9609)へ。