和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

カツオ漁の漁具作りに奮闘 サーフボードの製作技術生かす

ケンケン漁で使う漁具「潜航板」を作る河野優さん(和歌山県すさみ町見老津で)
ケンケン漁で使う漁具「潜航板」を作る河野優さん(和歌山県すさみ町見老津で)
 和歌山県すさみ町見老津でサーフボードを製作している河野優さん(52)が、町で盛んな伝統カツオ漁「ケンケン漁」で使う漁具「潜航板」を作り始めた。河野さんは「地元の漁師さんに認めてもらえる物を作れるように頑張りたい」と話している。


 ケンケン漁は、町で発展したひき縄漁。疑似餌でカツオなどを釣る。この漁法で釣り上げられたカツオは鮮度が高いと人気があり、特にすさみ町内に水揚げされたカツオは「すさみケンケン鰹」としてブランド化されている。

 潜航板はもともとキリ製だったが、現在は、プラスチック製を使っている漁師も多いという。

 河野さんは昨年1月、大阪府和泉市から町内に移住した。キリ製のサーフボードを作っていたところ、町内で暮らす知人から「潜航板も作れないか」と相談を受け、今年1月から作り始めた。キリ製の潜航板の作り方を知る人を探したが、見つからなかったため、過去に作られた潜航板を手掛かりに試行錯誤を重ねた。「ものすごく精密で難しい。失敗を繰り返し、ようやく形になってきた」と話す。

 河野さんが作っている潜航板の大きさは、長さ約30センチ、幅は最大約15センチ、厚さ約2・5センチ。先日、地元漁師に完成品を実際に使ってもらったところ「動きが良い」と太鼓判を押してもらったという。

 地元の漁師は「魚の食いが良い」とキリ製を欲しがる人が多いという。効率良く製作するために小型の機械を購入したが、まだ不慣れのため、1日に作れるのは5~6枚。今後、注文が多いようであれば、量産体制の整備を検討していくという。