和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月17日(火)

卒業記念で小学生も参加 池野山公園にクマノザクラ植樹

矢倉寛之さん(右手前)から苗木の植え方について説明を受ける児童=1日、和歌山県古座川町池野山で
矢倉寛之さん(右手前)から苗木の植え方について説明を受ける児童=1日、和歌山県古座川町池野山で
クマノザクラの苗木を植える児童
クマノザクラの苗木を植える児童
 和歌山県の古座川町観光協会は1日、同町の池野山公園に町花であるクマノザクラの苗木3本を植栽した。協会役員や西前啓市町長、小学生らが参加し、スコップで苗木に土をかけた。

 植栽は当初、観光協会主催の「古座川桜フェア」のオープニングイベントの一環で予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、お楽しみ抽選会、餅まき、古座川婦人会の踊りなどの催しは全て中止となった。植栽は、小学校の休校により中止となった高池小学校6年生11人の記念植樹を兼ねて実施された。

 クマノザクラの苗木は樹木医の矢倉寛之さん(38)=古座川町長追=が、池野山にある世界で唯一のタイプ(標本)木から採種して2年間育てた。児童は矢倉さんから植え方の説明を受けた後、植栽場所に苗木を運び、スコップで順番に土をかけた。公園内に植栽されているエドヒガン約20本は、クマノザクラとの交雑を防ぐため後日、別の場所に移植するという。

 大屋孝太君(11)は「大きく育っていくのを見るのが楽しみ。いろんな人に見に来てもらえるようになってほしい」と喜んでいた。

 観光協会の須川陽介会長(35)は、世界で唯一のタイプ木のある町として、クマノザクラをはじめ町内に生息する動植物や自然の在り方と向き合うきっかけにしたいとの思いから、植栽のみ実施したと説明した。

 矢倉さんは、木を植栽することは良いことのように思われがちだが、生態系にとっては良くないケースもあると指摘。植栽をする場合は、苗木を植える土壌や周辺の植生も考えて行うべきだと注意を促し、将来、古座川町をクマノザクラの名所にするなら、時間と予算をかけていく必要があると話した。