和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年04月24日(木)

どうなるコメ価格 備蓄米効果見られず、和歌山県紀南のスーパー

価格高騰や品薄が続くコメの売り場(和歌山県田辺市宝来町で)
価格高騰や品薄が続くコメの売り場(和歌山県田辺市宝来町で)
 コメの価格高騰を受けて放出された政府備蓄米が3月下旬から店頭に並び始めている。しかし効果はいまだ見えず、販売による値下がりが見通せない状況だ。備蓄米について、和歌山県紀南地方のスーパーマーケット5店舗に聞いたところ、いずれも販売しておらず、今後の入荷も未定との回答だった。

 農林水産省は7日、全国のスーパーで3月24~30日に販売されたコメ5キロ当たりの平均価格が前年同期と比べて2倍超の4206円だったと発表した。前週に比べて約10円高く、13週連続の値上がり。データの集計を始めた2022年3月以降の最高値を更新した。

 紀南のスーパーでも5キロ当たり4千~5千円台の商品が多い。備蓄米の入荷はないものの、独自ルートで仕入れたコメを価格を抑えて販売する店がある。

 イオングループの「ダイエー田辺ショッピングセンター店」(田辺市宝来町)は品薄のため、売り場には3月中旬から購入は「1家族1袋まで」という案内表示を出している。「2キロ入りは比較的在庫があるが、5キロ入りは少ない」と担当者。イオンはコメの安定供給に向けて、4月10日ごろから系列約2千店舗で、アメリカ産米8割と国産米2割をブレンドした商品を販売する予定。価格は国産米より割安で4キロ税込み3002円。

 田辺市などでスーパー「フレッシュハウス」「バリューハウス」の計4店舗を経営する「たかす」(本部・田辺市新万)は4日から、普段扱う銘柄米より2割ほど安い5キロ税込み4309円で国産のブレンド米を販売。加盟しているCGCグループのオリジナル商品で、6日までに全4店舗で完売した。現時点で追加の入荷予定はないという。

 他のスーパーの店長や売り場担当者からは、コメの価格や入荷について「本部に問い合わせるが、状況が良くなる兆しはない」「万博もあり、外食の需要はさらに高まるはず。品薄は続くだろう」「備蓄米は回ってこないのでは」といった声が聞かれた。消費者に対しては「価格や在庫に関する報道に過敏に反応して、皆が買いだめに走るのが心配。必要な分だけを普通に購入してほしい」という声もあった。

 田辺市内のスーパーで買い物客に話を聞いた。同市上芳養の70代無職女性は「年金暮らしなので安くなればありがたいが、下がり過ぎるのも怖い。値段が安定し、早く社会が落ち着いてほしい」、同市新庄町の50代自営業女性は「農家の経営が厳しいとニュースになっているので、値上げが一概に悪いこととは言えない。でも、コメは主食で生活に欠かせないもの。不当に値段がつり上がるのは困る」と話した。

 放出された備蓄米についてはJA全農が「混乱を避けるため」として、店頭では「備蓄米」と表示せずに販売することを求めている。