和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月25日(月)

受講生が研究成果発表 地域活性化テーマのセミナー

受講生による研究成果の発表(和歌山県串本町串本で)
受講生による研究成果の発表(和歌山県串本町串本で)
 和歌山県教育委員会は15日、串本町串本の串本古座高校で「マナビィスト支援セミナー紀南の部」を開いた。「人が育つ地域社会~人口減少社会への挑戦~」をテーマに、企画ゼミの受講生による研究成果の発表や他地域の事例を学ぶ講演などがあり、地域住民や高校生ら51人が参加した。

 マナビィストは、受講生が仲間とともに主体的に調査・研究を進める「学びの場」。企画ゼミは昨年10月から計5回開かれた。受講生は和歌山大学の村田和子教授から助言や指導を受けながら、グループに分かれて地域の魅力や活性化の方策について研究、意見交換をした。ゼミには串本古座高校や新翔高校の生徒も加わった。

 この日のセミナーでは、四つのグループがゼミでの研究成果を発表した。

 地域に在住する外国人に聞き取り調査をしたグループは、住む上での不便さや紀南の魅力について意見を聞き、誰も置き去りにしない社会を提言した。

 「子どもの遊び場が少ない」という子育て世代の悩みを受けて調べると、これまで知らなかった魅力ある場所があることに気付かされたことも報告。メンバーの高校生は「私たちがそのような場所を情報発信していければ」と意見を述べた。

 地域で活躍できる人づくりに焦点を当てたグループは「若者向けの異業種交流会を設けることで人のつながりができ、新たなビジネスが生まれるのではないか。地域の魅力が向上することで、外からの流入者も増えると思う。大人も学び、支え続ける必要がある」と提言した。

 基調講演では「過疎・高齢化の村の『合意形成』の地域づくり」と題し、かつらぎ町中部にある天野地区で、田園風景が広がる里の資源を生かした地域づくりに取り組む「天野の里づくりの会」の谷口千明会長が話した。

 里づくりの会は地域の観光資源を生かすほか、天野への移住希望者の窓口をつくる目的で、2006年に誕生。地区内の在住者や土地・家屋所有者は正会員、地区外の人で天野のファンやリピーターをサポート会員として構成しており、正会員とサポート会員合わせて29人でスタートしたが、現在は107人に増えている。

 谷口会長は「地区内の人には分からない天野の良さに気付くことができる、移住者やサポート会員の見方と考え方を大切にして活動している。また、時給制で手当を支給する仕組みにしたことから、充実した取り組みを年々展開し続けることができているのではないか」と成功の秘訣(ひけつ)を話した。

 会の取り組みでは、田植えや稲刈り体験、自然保全活動などでの企業との交流、商品開発、大学と連携した活性化プロジェクト、移住希望者へのサポートなどの活動を紹介した。

 基調講演後、村田教授や谷口会長、企画ゼミに参加した高校生や大人らによるパネルディスカッションがあった。