和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

住民同士で支え合おう みなべ町高城で課題話し合う

支え合いの地域づくりに向け、生活支援コーディネーターなども加わり、住民が地域の現状について話し合う(18日、和歌山県みなべ町広野で)
支え合いの地域づくりに向け、生活支援コーディネーターなども加わり、住民が地域の現状について話し合う(18日、和歌山県みなべ町広野で)
 高齢化が進む地域で、自分らしく暮らし続けられるように住民同士が支え合う取り組みについて考えていこうと、和歌山県みなべ町の高城地区で18日、住民による話し合いがあった。参加者は現状や課題について語り合い、人のつながりの大切さを再確認した。今後も町社会福祉協議会の生活支援コーディネーターが調整役となり、話し合いを重ねていく。

 国は医療や介護、予防、住まい、生活支援の一体的な提供の仕組みである地域包括ケアシステムの構築を推進している。今回の取り組みはその一環で、生活支援体制整備事業として町が町社福協に委託して実施している。この事業で、町内で地区住民が集まって話し合うのは初めて。

 生活支援コーディネーターの榎本浩士さん(40)が「今後の活動を通じて、皆さんと一緒に地域の困り事や課題を話し合ったり、専門機関につないだりできたらと思う」とあいさつし、町社福協の土井郁夫事務局長(49)が話し合いを進行した。

 取り組みに当たって土井事務局長は、高齢化や若者の減少、核家族化などで、これまであった助け合いや行事ができなくなるなど、人のつながりが希薄になっていくことが懸念されていること、元気に地域で暮らすためには、顔が見える「お互いさま」のつながりが大切になってくることを説明。「高城地区にどのようなことがあればもっと暮らしやすくなるか、何かできるようにするために話し合いの場が必要ではないか」と投げ掛けた。

 孤立は転倒や認知症、うつ病を引き起こしやすくすること、健康のためには地域活動への参加が大切であることも説明した上で、参加者がグループに分かれて、地域の人のつながりや、集まる場、「お互いさま」でできることやしていることなどを語り合った。

 「地域に閉じこもりがちで、気になる人がいる」「農業で1人で黙々と作業することもあるが、皆で集まる場に行くと楽しい」「公民館で月1回している『ふれあい喫茶やまびこ』が楽しみ」「『100歳体操』の集まりに参加しているが、良い運動だと思う」、寺や神社の集まりで「世代間のつながりがなくなってきた、昔に比べると縮小している」などの声があった。

 今後については「5年、10年先を考えると、車の運転ができなくなり買い物に困りそう。若者もいなくなるし、どうしよう」「個人のことにどこまで踏み込めるか。今日は電気(明かり)が点いているとか、姿を見たとか、見守るということから始めるしかないと思う」という意見もあった。最後に、話し合いの場を継続していくことを確認した。

 町社福協では今後、町内の他の地区でもこうした話し合いの場をつくっていきたい考えで、土井事務局長は「困り事や生活課題には地域性もある。地域ごとに皆さんと話し合いをして何かできることを見つけ、暮らしやすいまちづくりができたら」と話した。