公立大学を田辺市に 旧庁舎跡地に設立構想、和歌山県
和歌山県田辺市で、4年制の公立大学を新設する構想が浮上している。市役所旧庁舎跡地(新屋敷町)の活用を想定し、現役の大学教授らでつくる一般財団法人が市に提案。高等教育の空白地帯である紀南地域に大学をつくることで、若者の人口流出を抑えるとともに、地方から日本を元気にする人材を育成したいという。
設立を目指しているのは「熊野立初(たてぞめ)大学」(仮称)。一般財団法人「立初創成大学設立準備財団」(樋口祥子代表理事、兵庫県宝塚市)が提案し、市が実現の可能性を含めて検証を進めている。
立初創成大学設立準備財団は、関西学院大学国際学部の關谷武司教授とその教え子らが2023年に設立した。關谷教授は教育開発学が専門で、国際協力機構(JICA)で勤務した経験もある。
熊野立初大学は、文系・理系の枠にとらわれずに学ぶ「文理融合型」の大学。自ら問いを立てて解決策を見いだす「探究」や、フィールドワークなどの「体感」を重視した教育を提供したいという。2週間で1科目を履修する集中講義形式で、定員は1学年144人を想定している。
構想では、市が大学の設置主体となり、財団メンバーらで構成する公立大学法人が運営を担う方針。市が設置する公立大学とすることで、国からの財政支援を受けることができる。
旧庁舎跡地を含む田辺湾岸エリアのまちづくりを巡っては、市が昨年3月、「田辺ONE(ワン)未来デザイン」構想を策定。旧庁舎の向かいにある市営扇ケ浜海岸駐車場を誘客交流施設の事業用地とし、庁舎跡地に立体駐車場を整備する方針を示していた。
大学新設の提案があったことを受け、立体駐車場の整備については、大学構想の検証を踏まえて考えるという。市は、3月上旬をめどに検証結果をまとめる方針。
市議会「庁舎跡地活用等まちづくり特別委員会」の会合が30日にあり、市当局が一般財団法人からの提案内容について説明した。
議員からは「津波浸水域に大学をつくるのはいかがなものか」など、慎重さを求める意見が相次いだ。
市では、任期満了に伴う市長選を4月に控えている。真砂充敏市長は、6選を目指して立候補する意向を表明。大学構想について「今後、慎重に吟味し、議論を尽くす必要があるが、実現に向けた検討を進めていきたい」と前向きな姿勢を示している。
■増える公立大学
近年、地方の公立大学が増えている。
文部科学省の学校基本調査によると、1984年度には34大学(学生数約5万4千人)だったが、2014年度は92大学(約14万8千人)、24年度は103大学(約16万8千人)まで増えた。
自治体にとっては、若い世代の流出を抑えたり、他の地域から呼び込んだりして、地域の活性化を図る狙いがある。学生にとっては、私立と比べて学費を安く抑えられるなどの利点がある。
現在、新設に向けた取り組みを進めている自治体も全国に複数ある。
設立を目指しているのは「熊野立初(たてぞめ)大学」(仮称)。一般財団法人「立初創成大学設立準備財団」(樋口祥子代表理事、兵庫県宝塚市)が提案し、市が実現の可能性を含めて検証を進めている。
立初創成大学設立準備財団は、関西学院大学国際学部の關谷武司教授とその教え子らが2023年に設立した。關谷教授は教育開発学が専門で、国際協力機構(JICA)で勤務した経験もある。
熊野立初大学は、文系・理系の枠にとらわれずに学ぶ「文理融合型」の大学。自ら問いを立てて解決策を見いだす「探究」や、フィールドワークなどの「体感」を重視した教育を提供したいという。2週間で1科目を履修する集中講義形式で、定員は1学年144人を想定している。
構想では、市が大学の設置主体となり、財団メンバーらで構成する公立大学法人が運営を担う方針。市が設置する公立大学とすることで、国からの財政支援を受けることができる。
旧庁舎跡地を含む田辺湾岸エリアのまちづくりを巡っては、市が昨年3月、「田辺ONE(ワン)未来デザイン」構想を策定。旧庁舎の向かいにある市営扇ケ浜海岸駐車場を誘客交流施設の事業用地とし、庁舎跡地に立体駐車場を整備する方針を示していた。
大学新設の提案があったことを受け、立体駐車場の整備については、大学構想の検証を踏まえて考えるという。市は、3月上旬をめどに検証結果をまとめる方針。
市議会「庁舎跡地活用等まちづくり特別委員会」の会合が30日にあり、市当局が一般財団法人からの提案内容について説明した。
議員からは「津波浸水域に大学をつくるのはいかがなものか」など、慎重さを求める意見が相次いだ。
市では、任期満了に伴う市長選を4月に控えている。真砂充敏市長は、6選を目指して立候補する意向を表明。大学構想について「今後、慎重に吟味し、議論を尽くす必要があるが、実現に向けた検討を進めていきたい」と前向きな姿勢を示している。
■増える公立大学
近年、地方の公立大学が増えている。
文部科学省の学校基本調査によると、1984年度には34大学(学生数約5万4千人)だったが、2014年度は92大学(約14万8千人)、24年度は103大学(約16万8千人)まで増えた。
自治体にとっては、若い世代の流出を抑えたり、他の地域から呼び込んだりして、地域の活性化を図る狙いがある。学生にとっては、私立と比べて学費を安く抑えられるなどの利点がある。
現在、新設に向けた取り組みを進めている自治体も全国に複数ある。