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2025年02月19日(水)

被害想定を見直し 南海トラフ地震、25年度中の策定目指す、和歌山県

和歌山県庁
和歌山県庁
 和歌山県は、南海トラフ巨大地震や東海・東南海・南海3連動地震の被害想定や津波浸水想定の見直しに着手した。最悪、県内で約9万人が犠牲になるとする現在の想定策定から10年以上が経過しており、人口減少、少子高齢化、耐震化の状況などを踏まえて検討する。2025年度中の策定を目指す。


 東日本大震災の発生を受け、国が南海トラフ地震の被害想定を出したのを踏まえ、県も2013年3月に津波浸水想定、14年3月に地震や津波被害想定を策定した。最悪の場合、津波などで約9万人が死亡し、特に紀南では3分で1メートル以上の津波が到達し、最高19メートルの津波が襲来するとされる地域があり、被害が甚大になるとしている。

 県は津波避難困難地域解消に向けた取り組みなど防災減災対策を進めており、国が被害想定を見直していることを受け、県も見直しを進めることにした。

■大学教授らで委員会

 県は29日、見直しについて有識者の意見を聞くため、第1回「県地震・津波被害想定検討委員会」を県庁で開いた。現在の想定を共有し、今後の議論の進め方などを話し合った。

 委員は、京都大学の牧紀男教授、関西大学の奥村与志弘教授、和歌山工業高等専門学校の小池信昭教授、産業技術総合研究所の宍倉正展・国内連携グループ長、兵庫県立大学大学院の松川杏寧准教授、京都大学の矢守克也教授の6人。会長には、委員互選で牧教授が就いた。

 会議冒頭、県危機管理部の河野眞也部長があいさつした。国が15日、南海トラフ巨大地震の30年以内の発生確率を「70~80%」から「80%程度」に引き上げたことや、昨夏から「南海トラフ地震臨時情報」が2回発表されたことを挙げ、備えの緊急性が高まっていると強調。能登半島地震を受け、地理的条件や社会的特徴が似ている和歌山県でも対策の見直しを進めているとした上で「県民の命、財産を守るため、これから議論される被害想定を踏まえて、防災減災対策について不断の見直しをしていきたい」と話した。

 委員会は策定まで5回程度開催する見込み。津波浸水や地震動の計算手法を協議し、国が今後公表予定の新たな被害想定や、県の現状、新たなデータなどを踏まえて人的・建物被害、避難者数、インフラへの影響などを算出。その上で、ハード、ソフト両面での対策を盛り込みたいとしている。