和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

正月飾りに梅の剪定枝 出荷始まる、JA紀州

ズバイの状態を確認する営農指導員の山﨑竜麻さん(2日、和歌山県みなべ町気佐藤で)
ズバイの状態を確認する営農指導員の山﨑竜麻さん(2日、和歌山県みなべ町気佐藤で)
 和歌山県のJA紀州(芝光洋組合長)は2日、ズバイと呼ばれる梅の剪定(せんてい)枝の受け入れを始めた。正月用の飾りとして年々需要が高まっている。主に関西方面に出荷し、みなべ町と印南町で35万本の出荷を見込んでいる。


 ズバイは梅の真っすぐな若い枝のことで、枝を約40センチに切りそろえ、50本を1束にして出荷する。生け花や正月の縁起物の飾りとして使用されるため、曲がりがなく傷が少ないものが秀品として評価される。

 ズバイはJA紀州の合併前から田辺市龍神村や日高川町美山地域で出荷されていたが、他府県の産地からの出荷が減ったことで市場から要望があった。

 JA紀州では2014年から試験的に生産を開始し、16年から本格的に出荷している。

 今年はみなべ町と印南町を中心に管内45戸の農家が出荷に取り組んでいる。梅の剪定枝の出荷は廃棄物の削減だけでなく、生産者の所得向上にもつながるため、JA紀州はズバイの生産者を増やしていきたいという。

 今年は梅の記録的な不作の影響で枝に栄養が回らず、剪定の対象となる枝「徒長枝」が伸びやすい環境だった。一方で枝に黒っぽい斑点が現れる「すすはん病」の発生や、8月の干ばつにより枝の先が枯れるなどして、今季の出荷量は例年よりやや少なくなるという。農家による丁寧な選別もあり、品質を維持している。

 管内で収穫されたズバイは、みなべ町気佐藤の統合選果場に集まる。職員が状態の確認と箱詰めをしたのち、各方面へ出荷される。

 ズバイを持ち込んだ同町東岩代の農家、松川知憲さん(40)は「今年は梅の収量が少なかったので、ズバイを出して収入の足しになれば」と話した。