和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月20日(金)

実は「自腹」が一般的 公務員の名刺事情、和歌山

和歌山県の田辺市職員が職員労働組合を通じて作成している名刺。市内の観光名所などが印刷されている(画像の一部を加工しています)
和歌山県の田辺市職員が職員労働組合を通じて作成している名刺。市内の観光名所などが印刷されている(画像の一部を加工しています)
 仕事の場で欠かせないものの一つである「名刺」。民間企業では会社から支給されるのが一般的だが、公務員の場合は全国的に「自腹」で作成することが多いという。和歌山県の田辺・西牟婁の4市町ではどうしているのだろうか。

 「職員が自腹で名刺の台紙を購入する」と答えたのは白浜町。デザインも職員自らが考える。印刷は、役場でする人もいるし、業者に頼む人もいるという。

 上富田町の職員は2通りある。一つは各課が公費で購入した台紙に印刷する形、もう一つは各自が印刷会社に発注して自費購入する形だ。町総務課は「特に理由はなく、慣習として続いている」と話す。

 すさみ町は、町が台紙を購入。デザインは職員が考え、役場で自ら印刷している。

 田辺市は、職員が自費で作成している。市総務課は「名刺の作成費用について、これまで庁内で大きな議論になったことはない」と話す。名刺のデザインや記載事項、使い方などに関する明確なルールはなく、職員の良識に委ねているという。

 職員の半数ほどは、市職員労働組合を通じて作成している。市のキャッチフレーズ「未来へつながる道」のロゴが付いたものや観光名所の写真が入ったものなど、7種類の台紙から選ぶことができる。費用は100枚で1400円。大量に注文することで1枚当たりの単価を低く抑えている。

 内部とのやりとりが中心の部署だと、そもそも名刺を作らない職員もいる。一方で、商工観光部や建設部など対外的な関わりが多い部署の場合は、年に何度も注文に来る職員もいるという。

 仕事で使う名刺の作成費用は、「自腹」が妥当なのか。あるいは「公費負担」にすべきなのか。

 あるベテラン職員は「いまは地域の魅力発信も自治体の重要な業務の一つで、官民連携の仕事も増えており、昔と比べて名刺交換をする場面が多い。公務で必要なものなのに自腹なのは、時代に合わないのではないかと感じる」と話している。