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2024年12月23日(月)

【動画】覆工コンクリートほぼ撤去 不良工事の八郎山トンネル、和歌山

トンネル内部を覆う「覆工コンクリート」がほぼ撤去された八郎山トンネルで現地調査をする関係者(28日、和歌山県串本町で)
トンネル内部を覆う「覆工コンクリート」がほぼ撤去された八郎山トンネルで現地調査をする関係者(28日、和歌山県串本町で)
 大規模な不良工事が発覚し、ほぼ全ての工程をやり直すことになった和歌山県道長井古座線の「八郎山トンネル」(串本町―那智勝浦町、延長711メートル)で28日、県が設置した専門家でつくる「技術検討委員会」が現地調査をした。やり直し工事が進んでおり、トンネル内部を覆っている「覆工コンクリート」はこれまでにほぼ撤去されたが、専門家は「技術的にはこれからの方がはるかに難しい」と話した。


 県から請け負った淺川組(和歌山市)と堀組(田辺市)の共同企業体が施工したトンネルで、覆工コンクリートのほとんどに空洞や薄い場所があることなどが判明。県は技術検討委員会を設けるなどして対策を協議し、掘削以外、ほぼ全ての工程をやり直す方針を決めている。

 この日は、昨年12月から覆工コンクリートを取り外す作業が始まり、これまでに8割ほどが撤去されたというトンネル内に委員が入って現状を確認した後、串本町サンゴ台の町役場で会議を開き、原因を究明して再発防止策を示す報告書の案について審議した。

 県によると、覆工コンクリートを撤去する作業は5月ごろをめどに終了し、その後、設置位置がほとんどずれているというアーチ型の鋼材「鋼アーチ支保工」約700本を順次撤去して正しい位置に設置し直す作業に取りかかる予定という。

 委員長を務める大西有三・京都大学名誉教授は「覆工コンクリートを取り外す作業は順調に進んでいるが、これはトンネルの安定性には関係がなく、これから支保工を取り外すとトンネル自体が変形する可能性もあるので、それを勘案すると相当緻密なプロセスを踏んでいかなければならない」と話した。