和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

秋祭りたけなわ 伝統の獅子舞奉納、笛や太鼓の音響く 和歌山

近野王子で奉納する野中の獅子舞(3日、和歌山県田辺市中辺路町で)
近野王子で奉納する野中の獅子舞(3日、和歌山県田辺市中辺路町で)
笛と太鼓の音色に合わせて披露された「上野の獅子舞」(3日、和歌山県田辺市下川下で)
笛と太鼓の音色に合わせて披露された「上野の獅子舞」(3日、和歌山県田辺市下川下で)
 秋晴れに恵まれた3日、和歌山県紀南地方各地で秋祭りが営まれた。コロナ禍が明け4年ぶりに通常に近い開催となった神社が多く、田辺市内の山間地域では伝統の獅子舞が奉納された。神社や周辺には笛や太鼓の音、子どもの歓声が響き渡り、参拝者や見物人を楽しませた。

■野中の獅子舞

 田辺市中辺路町の近露や野中では、獅子舞を継承する「近野獅子舞団」(井谷充孝団長、15人)による「野中の獅子舞」が勇壮に奉納された。県無形民俗文化財に指定されている。

 近露王子では、笛や太鼓の音に合わせ「幣の舞」「剣の舞」などの演目を奉納。境内を所狭しと動き回り、頭を高々と突き上げる「かねまき」が披露されると、見物人から拍手が起こった。

 神事の前には近野小学校(佐武範一校長、19人)の児童による笛と太鼓の演奏が披露され、場を盛り上げた。近野神社や継桜王子でも獅子舞の奉納があった。

 見物していた女性は「久しぶりに獅子舞を見られて良かった。餅まきの餅も拾えた」とうれしそうに話した。

 野中の獅子舞は、南北朝時代、近露の野長瀬一族が大塔宮護良親王の軍に参じる出陣の際に舞ったとされ、約700年前から郷土の平安を願って守り継がれているという。

■上野の獅子舞

 田辺市下川下の春日神社では、県指定無形民俗文化財の「上野の獅子舞」が奉納された。

 9月から練習を重ねてきたという獅子舞保存会が「くぐり」や「刀ねらい」「花かがり」などを披露し、見物人を楽しませた。

 間近で見物した同市高雄2丁目の宇杉珠一さん(87)は「2年ぶりに見に来たが、笛と太鼓のリズムもいいし、見ていて心地よかった」と喜んでいた。

 保存会会長の湯川剛さん(57)は「まずまずの出来だったと思う。多くの方に拍手をもらえて、ありがたかった」と話した。

 神社そばのグラウンドでは、催し「ふる里富里まつり」(実行委員会主催)があった。新型コロナウイルス流行の影響で4年ぶりで、今年が最後ということもあり、多くの人でにぎわった。グラウンドでも獅子舞の披露があった。