和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

みんなで学校つくろう 25年開校に向けCFも活用、和歌山県田辺市

2025年の開校を目指し、クラウドファンディング開始を宣言する仙石恭子代表理事(右から4人目)ら=10日、和歌山市で
2025年の開校を目指し、クラウドファンディング開始を宣言する仙石恭子代表理事(右から4人目)ら=10日、和歌山市で
 和歌山県田辺市中辺路町で探究的な学びや多言語教育の私立小中学校づくりを進める「うつほの杜学園(仮称)設立準備会」(和歌山市)は10日、2025年4月の開校に向け、和歌山市内で決起会を開いた。開校資金を募るクラウドファンディング(CF)も開始。「熊野古道を世界とつながる学びの聖地にしたい」と協力を呼びかけている。

 「準備会」は中辺路町川合で10年前に閉校した二川小学校を活用し、25年に小学校、29年に中学校の設立を計画している。

 準備会が掲げるのは、熊野古道をはじめとする豊かな文化や歴史、自然を生かしたグローカル(地域性を考慮しながら、地球規模の視点で考え、行動する)な教育。世界とつながるため、多言語の学びを重視する。英語の授業以外でも一部英語で行う。作る、調理するなども含む食学、立地を生かしたアウトドア活動にも力を入れる。

 定員は1学年25人(小学校150人、中学校75人)を予定している。学費は年間80万~100万円ほどで、ほかに設備維持費や教材費などが必要になる。

 校長に就任予定の東洋大学国際学部教授の市川顕氏は「世界のさまざまな課題の解決に向かう子どもたち一人一人の力を引き出す環境をつくる。学校を拠点に地方創生を実現したい」、準備会の仙石恭子代表理事は「和歌山に必要なのは学校だと感じている。地域に開かれた学校として、学びに協力していただきたいし、学校も地域に貢献したい」と意気込みを語った。

 地元にも歓迎ムードが広がっている。準備会は新しい学校を通じた地域活性化に向けて、田辺市と地元町内会との三者で基本協定を結んでいる。つながりは民間会社、世界へと広がっている。

 田辺市の真砂充敏市長は「持続可能なまちづくりのためには、人材が必要。廃校が学校として復活するのは夢がある。できる限り応援したい」と述べた。

 新たに包括提携する予定のアワーズ(大阪府)は、白浜町で運営する「アドベンチャーワールド」の140種の動物を通じ、教育に協力する方針。中尾建子白浜事業所長は「施設を学習に使ってもらうとともに、私たちも学校から学びたい」と展望を語った。

 イタリアで食と持続可能をテーマに教育プログラムを展開する団体とも連携する。

■目標は3500万円

 設立資金はCFサイト「Makuake(マクアケ)」で11月30日まで募っている。目標金額は3500万円。資金応援は3千円から。探究講座の体験や学校づくりへの参加などの特典がある。

 準備会は「日本全国に学校設立プロジェクトを知ってもらいたい。みんなで、みんなの未来の社会をつくるため協力をお願いしたい」と呼びかけている。