和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

「新しい学校」つくろう 旧二川小に誘致計画、田辺市中辺路町

「新しい学校」の誘致計画がある旧二川小学校校舎(和歌山県田辺市中辺路町川合で)
「新しい学校」の誘致計画がある旧二川小学校校舎(和歌山県田辺市中辺路町川合で)
 和歌山県田辺市中辺路町川合の旧二川小学校を活用して、探究型や多言語教育を掲げる私立小中学校を創設する構想が浮上している。旧校舎が再び学校としてよみがえれば、地域が活気づくと地元区も期待。市に誘致を求める要望書を提出した。


 二川小は、児童数の減少に伴い2013年3月に閉校。その後、地域では行政とともに活用方法を模索してきたが、現在のところ地元団体「ふたかわ超学校」が映画会やマルシェで利用しているものの、恒常的な活用には至っていない。

 誘致を考えている「うつほの杜学園」(仮称)は、和歌山市の一般社団法人ワカヤマスコラボ(仙石恭子代表)が25年に小学校、29年に中学校の開校を計画している。

 学園は「人とまちを元気にする学校」を目的に、グローバル(世界)とローカル(地方)の視野を持つリーダー育成を目指す。子ども主体で思考を深める学習を実践。子ども同士の協働、フィールドワークも重視し、社会に開かれた学びを具体化したいという。

 仙石代表(43)は「世界遺産・熊野古道があり、自然豊かな田辺市は、私たちが目指すグローカル(地域性を考慮しながら、地球規模の視点で考え、行動する)教育の適地」と話す。

 保護者には「自然の中で子どもを伸び伸び育てたい」「子どもの内にある多様な力を伸ばしてほしい」「進学のためでなく、グローバル社会で生き抜く力を身に付けてほしい」といったニーズが大きいという。

 入学定員は1学年20~25人の予定で、半数は教育を目的にした都市部からの移住者、残り半数は県内からの通学者を想定している。

 ワカヤマスコラボから「学園」の教育理念や将来ビジョンの説明を受けた地元区は「少子高齢化が進む地域にとって、希望に満ちた明るい話」と誘致の方向で意見が一致。旧二川小校区7地区と中辺路町自治連絡協議会の代表が22年12月中旬、真砂充敏市長に要望書を手渡した。


■「実現に向け精査」市長

 川合町内会長の広瀬桂さん(69)は「意識の高い都会の子どもがやって来れば、地元の子も刺激を受けるはず。新しい学校が地域のさまざまな世代とつながり、化学反応が起こればいい」と期待している。

 真砂市長は「二川小が学校として再スタートできれば理想的。実現可能性について精査していきたい」と話している。