和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月20日(金)

ロケット発射見学場が完成 那智勝浦町が廃校舎改修

整備が終わった旧校舎の屋上で開かれた見学会で、ロケットが打ち上がる方角を指さす堀順一郎町長(和歌山県那智勝浦町浦神で)
整備が終わった旧校舎の屋上で開かれた見学会で、ロケットが打ち上がる方角を指さす堀順一郎町長(和歌山県那智勝浦町浦神で)
 和歌山県串本町田原にできる日本初の民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」からの初号機発射に向け、近くにある「旧浦神小学校」(那智勝浦町浦神)を見学場にするために那智勝浦町が進めていた整備が完了した。地元住民ら約60人が12日、施設を訪れて屋上からの眺めなどを確認。「発射が楽しみ」といった声が聞かれた。

 同町によると、発射場から約1・6キロにある旧浦神小学校は鉄筋コンクリートで1983年3月に完成。学校統合により2013年3月に閉校となった。

 3階部分に当たる屋上などに見学できる広さが確保できることや、そばの港湾施設も利用できることから、串本町田原の「田原海水浴場」とともに、初号機発射に向けた有料・事前予約制の「プレミア見学場」としての利用が予定されており、那智勝浦町ではこの夏から整備を開始。第1弾の整備として約200万円をかけ、校舎の屋上約650平方メートルのうち約270平方メートルを見学できるように床面を補修したり、通路を設けたりした。

 この日の見学会では、屋上に集まった参加者に堀順一郎町長が、打ち上げられる小型ロケットの概要や打ち上がる方角などについて説明。発射場周辺の様子が分かるように上空約350メートルから撮影した映像や、種子島で打ち上げられたロケットの動画も見てもらった。

 友人と参加した谷口すま子さん(82)=那智勝浦町浦神=は「生まれて初めてのことなので、ロケットの打ち上げを見るのが楽しみ。家からも見えるみたい。打ち上げの時は孫や子どもたちも呼びたい」と笑顔を見せた。

 堀町長は「ここは近くからゆっくりと見ていただける見学場になると期待している。今回は最小限の設備投資で、ロケットが発射して見栄えが良かったり、迫力があったりすれば屋上の見学スペースを広げるなどしたい」と話していた。

 初号機の発射時期について、仁坂吉伸知事は今月10日の定例会見で「スペースポート紀伊はほとんど完成しており、最後の仕上げをしているところだと思う。来年、どこかタイミングがよく分からないが、多分1発目が打ち上がると思う」と見通しを述べた。