和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月24日(日)

職員も住民、地域で支え合おう 全職員が「認知症サポーター」、和歌山・田辺市

認知症サポーター養成講座を受ける田辺市職員(和歌山県田辺市高雄1丁目で)
認知症サポーター養成講座を受ける田辺市職員(和歌山県田辺市高雄1丁目で)
 和歌山県田辺市の特別職を除くほぼ全職員が、認知症サポーター養成講座を受けている。高齢化が進み、認知症は人ごとではなくなった現代。地域の住民でもある職員が理解を深めることで、支え合う環境づくりを進めたいという。


 職員が研修の一環で受講するようになったのは2022年度から。対象は会計年度任用職員の一部も含めて約1300人で、すでに千人超が受講している。昨年7月に受講した観光振興課の宮下彩佳さん(32)は「声のかけ方や、どこまで見守るべきなのかといった接し方がとても勉強になった」と話した。

 市民総合センター(高雄1丁目)では8月29日、約60人を対象にした講座があった。やすらぎ対策課の職員が講師となり、認知症の人の症状や行動には本人なりの理由があることを説明。「後ろから声をかけない」「優しい口調で」など対応時の具体的なポイントを挙げた。症状に応じて受けられるサービスも紹介して「職員として適切な機関に(認知症の人を)つないでほしい」と呼びかけた。

 24年度以降も、新規採用者を対象に取り組みを続ける。市の「長寿プラン」では、認知症に対する知識の普及や見守り機能の強化を図ると明記している。

 認知症サポーターは、正しい知識と理解を持ち、認知症の人やその家族にできる範囲で手助けする立場。全国の市町村などが養成講座を開いている。

 田辺・西牟婁の1市3町も、各地で講座を開催。これまでに延べ約1万2800人の認知症サポーターが誕生している。