和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

認知症を地域で見守る みなべ町、シールや無線標識活用

和歌山県みなべ町が見守り事業で取り組む「見守り・安心シール」(左下)、無線標識(左上)、捜索アプリの画面(右)
和歌山県みなべ町が見守り事業で取り組む「見守り・安心シール」(左下)、無線標識(左上)、捜索アプリの画面(右)
 和歌山県みなべ町は、認知症の人を地域で見守るための事業に取り組んでいる。身に着けてもらうことで連絡先が分かる「見守り・安心シール」の無料配布や、居場所が把握できる無線標識の無償貸与などがある。今のところ申し込みは少ないが、認知症は今後、増加が予測されるため、町は「安心して暮らせる町になるよう続けていきたい」と話している。

 認知症は全国的に、高齢化とともに増加すると予測されており、みなべ町でも町民から支援策を求める声が上がっている。町は、認知症サポーターの養成講座や相談・交流会などを開いているが、新たな取り組みとして昨年11月から、見守り事業を始めた。

 「見守り・安心シール」はQRコードが付いており、スマートフォンなどで読み込めば在住市町村名や公的機関の連絡先が分かる仕組みになっている。かばんや靴などに貼って利用する。

 無線標識は500円玉大で、そこから発信される電波をスマートフォンの機能を利用して把握できる仕組みになっている。反応範囲は5~30メートルと限られるが、行方不明になった際の捜索などで役立つことが期待される。

 さらに衛星利用測位システム(GPS)機器の購入に補助を出す。補助額はケースなどを含め上限1万円。利用料は自己負担。

 行方不明になれば捜索にも協力する。原則、警察に届け出た場合で、各機関にも協力を要請して無線標識などを活用して捜索する。

 いずれも対象は、要支援や要介護の認定があり、認知症と認められた人で、サービスを受けるには事前に登録する必要がある。

 これまで申し込みがあったのは2件だが、うち1件は施設に入所したため辞退した。1件は「見守り・安心シール」のサービスを受けている。

 町健康長寿課は「現時点でみなべ町では、認知症で徘徊(はいかい)し行方不明になることはそうないし、地域の見守りもしっかりしていることから、申し込みは少ないのだと思われる。しかし今後、高齢化がさらに進むと、このようなサービスの必要性が増してくる。先を見据え、地域全体で見守るといった取り組みに発展してくれればと思う」という。「町民の協力で成立する取り組み」として、捜索アプリ「みつけてnet」への理解や登録も呼びかけている。

 問い合わせは町健康長寿課高齢福祉係(0739・74・8065)へ。