和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月02日(土)

8割が「性別役割分業ある」 理想と現実の差大きく、和歌山・田辺市が調査

「男は仕事、女は家庭」
「男は仕事、女は家庭」
 「男は仕事、女は家庭」―。そんな固定的な性別役割分業意識について、「社会の中にまだまだある」「少しはある」と思う人が約8割に上ることが、和歌山県田辺市の調査で分かった。男女共同参画の実現が重要課題である一方で、現実にはなかなか進んでいないことがうかがえる。市の担当者は「性別に関わりなく、それぞれの個性と能力を十分に発揮できる社会づくりに取り組みたい」と話している。


 「男は仕事、女は家庭」といった考え方そのものについては、2020年の県民意識調査で「反対」「どちらかといえば反対」と答えた人が67・0%に上るなど、否定的に捉える人が多くなっている。

 一方で、今回の市の調査では、そうした考え方が「社会の中にまだまだあると思う」と答えた人が42・6%、「少しはあると思う」も33・6%いた。

 回答者の性別ごとに見ると、女性で「まだまだある」「少しはある」と思う人は81・2%に上った。一方の男性は70・7%にとどまっており、男女間で現状認識にギャップがあることも浮き彫りになった。

 どんな分野で性別役割分業が「ある」と思うかについて尋ねたところ、最も多かったのは「家庭生活」で67・4%。次いで「職場」が41・6%、「社会通念・慣習・しきたりなど」が39・6%だった。

■「家事は分担」したいが

 家庭内の役割分担について、家事ごとの「理想」と「現状」もそれぞれ質問した。

 その結果、食事の支度や後片付け、日常の買い物、掃除、洗濯の各項目について「理想は男女共同・分担」と回答した人が60~70%台と多数を占めた。ところが、いずれの項目についても「現状は主に女性」と答えた人が50~60%台と最も多く、理想と現実に大きなギャップがあることも分かった。

 職場での性別による待遇の違いについては、採用時の条件が「男女平等である」と回答した人は66・4%だったのに対し、昇進・昇格が「平等」と答えた人は55・0%にとどまった。

 調査は「市男女共同参画プラン」の見直しの資料とするため、昨年9~10月、18歳以上の市民を対象に郵送やインターネットで実施。回答者は672人だった。

■「子育て支援充実必要」

 調査では、男女共同参画社会の実現に向けて、今後どのような施策に力を入れるべきかについても質問した(三つまで回答可)。

 最も多かったのは「子育て、介護に対する多様な支援を充実する」で49・7%。続いて「男女の仕事と家庭との両立を支援する」が39・3%、「男女共同参画の視点から、慣習の見直しや啓発を進める」が31・7%だった。