和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月15日(金)

生活、観光の影響が長期化 国道168号通行止めで熊野古道のバスも運休、本宮

通行止めが続いている国道168号(15日、和歌山県田辺市本宮町で)
通行止めが続いている国道168号(15日、和歌山県田辺市本宮町で)
 和歌山県田辺市本宮町大居の国道168号が落石のために全面通行止めとなって16日で2週間になった。県は山中を通る市道を迂回(うかい)路に設定しているが、道幅が狭いために4トン未満の車しか通れず、時間帯によっては渋滞。熊野古道の人気コースを歩くために発心門王子へと向かう路線バスも運休しており、住民生活や観光面での影響が長期化している。

 西牟婁振興局建設部本宮駐在によると、現場は斜面の災害を防止する工事のため、以前から仮設防護柵を設けて片側交互通行にしていた場所。道沿いの斜面はほぼ垂直で、道路面から高さ約50メートルまではコンクリート吹き付けにしていたが、今月2日に大雨が降った際、その上部から石が落ちてきて道路上に散乱。このため、同日午後1時過ぎに全面通行止めにした。

 県はその後、コンクリート吹き付けより上部の斜面に生えた樹木の伐採を終え、斜面の整形作業に取り組んでいる。その作業が終わった後にコンクリート吹き付けをし、道路に仮設防護柵を設置して通れるようにする計画だが、今のところ復旧の見通しは立っていないという。

 また、6日からは、国道168号から本宮行政局の横を通り、音無川沿いをさかのぼって熊野古道の三軒茶屋跡のそばを通る市道を迂回路に設定。毎日仕事でこのルートを通っている町内の男性(61)は「普段よりは10分ほど余計に時間がかかるし、狭くて交通量も多いので疲れる。休みの日に出かけるのもおっくう」と肩を落とす。

 熊野本宮観光協会によると、この影響で路線バスが熊野本宮大社前と発心門王子の区間で運休になっているため、宿泊客を自分たちの車で発心門王子に送り届けている宿泊施設もあるという。

 名渕敬会長(58)は「発心門王子から熊野本宮大社までの熊野古道は地域の観光にとって非常に重要なコース。公共交通機関が発心門王子まで行っていないので、歩きたい方が苦労されている。早く通れるようにしてほしい」と話す。

 県の担当者は「朝夕の通勤時間帯には渋滞も発生しており、極力スムーズに行けるように誘導員も配置しているが、皆さんに不便をおかけしている。早急に通行止めを解除できるよう精いっぱい取り組みたい」と話している。