和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

摘果ミカンでクラフトビール 「地域の特産品に」本年度中の完成目指す、印南町

昨年作ったクラフトビールの試作品。商品名にも入れた七宝の文様を取り入れている
昨年作ったクラフトビールの試作品。商品名にも入れた七宝の文様を取り入れている
 和歌山県印南町印南、印南漁港にある観光交流施設かえるの港を運営する「和み」(古田高士代表)は、摘果したミカンを原料にしたクラフトビールの開発に取り組んでいる。町をアピールできる産品にしたいという。本年度中に商品化して、来年度以降の販売を目指している。


 クラフトビールは、小規模な醸造所で造られる個性のあるビール。近年は地元の食材を活用した商品が全国各地で生み出されている。

 同社は、施設内の産直店「産直市場なごみ」で印南町発祥とされるかつお節のPRなど地域活性に取り組んでいる。同町はミニトマトや小玉スイカ、花など農産物の生産が盛んな一方、加工品が少ない。このため、地場産業を生かせる魅力ある商品を開発しようと、摘果で廃棄されるミカンに着目した。

 商品開発に向け昨年度にクラウドファンディングで資金を募ったところ、目標金額30万円に対して41万5千円の寄付が集まった。さらに、公益財団法人わかやま産業振興財団が実施する、新商品や新サービスの開発のための「わかやま農商工連携ファンド」にも本年度採択された。

 商品名は、縁起の良い七宝文様にちなみ「シッポウクラフト」とし、七宝文様をラベルにも取り入れる。摘果ミカンは庄田果樹園(印南町羽六)から調達。製造は和歌山市の醸造会社に委託する。試作品を昨年70本作り、観光客らに提供して好評を得た。

 商品のバリエーションを広げようと開発会議をこのほど、御坊市名田町の和歌山工業高等専門学校で開いた。県内のクラフトビール開発で実績のある同校生物応用化学科の楠部真崇教授、庄田果樹園らを交えて協議。摘果の温州ミカンに加え、ジュース製造時に出るかんきつ類の皮、等級の低い青梅なども試してみることにした。

 今季の青梅など原料が調達でき次第試作していく。和みの担当者は「地元の看板商品の一つになるよう目指していきたい。試飲会を開いて意見をもらい、印南が誇ることができる商品にしたい」と話している。