和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

釣り人の命を救う緑の光 夜間の転落事故対策グッズ、串本のダイビング店開発

ライフジャケットに装着したバディフラッシュ(和歌山県串本町大島で)
ライフジャケットに装着したバディフラッシュ(和歌山県串本町大島で)
水の中で光るバディフラッシュ
水の中で光るバディフラッシュ
 和歌山県串本町で釣り人が海中に転落する事故が度々起きている。ライフジャケットを着ていても、夜間だと見つけ出すのが難しい。そこで、そんな状況でも命が助かるきっかけになればと、町内のダイビングショップ店主が水に触れると緑色の光が長時間点滅するグッズを考案。海だけでなく川や山のレジャーの「相棒」として売り出している。


 販売しているのは同町大島の「南紀大島DIVE ISLAND(ダイブ アイランド)」。潜水士の資格を持つ山崎正紀代表(59)が、海に転落した行方不明者の捜索に携わってきた経験から、元々、ナイトダイビング用として使われていた既存の商品を安全対策グッズとして活用できないかと改良に着手した。

 ライフジャケットに付けて実際に落水してみるなどテストを重ね、5年かけて今春、ようやく販売までこぎ着けた。商品には「BUDDY FLASH(バディフラッシュ)=相棒の光=」と名付けた。

 全長は9センチほどで、底にある接点が水に触れると緑色の発光ダイオード(LED)が自動的に光る仕組み。水に触れている間は約300時間点滅する。200メートル離れた場所からでも見える強い光を放つという。ライフジャケットなどに装着できるよう金具もある。

 山崎代表は「付けていても使う場面がなかったというのが一番。『おかえり』という声が聞けるよう、命を助ける光になればうれしい」と話している。

 すでに那智勝浦町で観光船を運航する会社に90個を納入。個人で購入する人もいるという。

 価格は1個3300円。同店やインターネットサイト「ダイブアイランドストア」で購入できる。

 串本町須江では昨年11月の未明、釣り人3人のうち1人が海に転落。暗闇だったが、救助に駆け付けた漁師がうねりのある波の中からスマートフォンのライトの明かりを見つけ、救出できた事例もある。

 問い合わせは同店(0735・65・0258)へ。