和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月26日(木)

和歌山の魅力発信へ 和大生ら団体つくる

熊野古道の体験観光に参加する親子と横山拓さん(左)=昨年11月、和歌山県田辺市本宮町の発心門王子で、写真は樫本凱斗さん提供
熊野古道の体験観光に参加する親子と横山拓さん(左)=昨年11月、和歌山県田辺市本宮町の発心門王子で、写真は樫本凱斗さん提供
 和歌山大学の学生らが、大好きな和歌山のために活動したいと集い、協力して互いの思いを実現しようと団体「ほんわかプロジェクト」(6人)を結成。教育的視点からの体験型観光の発信から始まり、地域の隠れた魅力の発信や海岸の清掃など、各テーマの取り組みを広げている。

 団体の名称は「ほんまもんの和歌山を味わおう」というメンバーの思いから取った。活動のきっかけは、代表の横山拓さん(24)=教育学部4年生=が、昨年9月まで2年間休学し、日本一周のバイク旅行などをしたこと。出会った人に地元の魅力を尋ねながら旅をしたが、逆に「和歌山には何があるの」と聞かれてうまく答えられなかった。自身は大阪府出身だったこともあり、改めて和歌山の人に聞いたが「何もないよ」という回答が多かった。

 横山さんは「そんなことはない。和歌山にはたくさん魅力があるはずで、自分たちが知らないだけだ」と、この活動を思い立ち、休学明けの10月からメンバーを勧誘。和大生3人と、旅をきっかけに知り合った立教大学の学生2人で団体をつくった。

 最初に始めたのは、和歌山ならではの県の体験観光メニュー「ほんまもん体験」のPR。体験が子どもにどんないい影響を与えるかについて親子にインタビューし、2月に開設した「公式ホームページ(HP)」で発信している。今のところ「熊野古道」や「めはり寿司(ずし)」「星空」を取り上げている。

 また、地域の魅力を発信する「ほんわかリサーチ」は、メンバーで田辺市出身の樫本凱斗さん(21)=経済学部3年生=のまちおこしへの思いから生まれた企画。県内のさまざまな地域で体験やインタビューなどをして地域の魅力を探り、HPなどで発信していく。

 中学生の時、同市江川から見た会津川の風景に感動し、思わずスマートフォンで写真を撮った。「田辺にこんないい場所があるのか」と思った半面、帰りに通ったシャッター商店街に残念な気持ちになった。これが経済を学び、地域活性化に取り組もうと思うきっかけになったという。

 大畑葉月さん(21)=教育学部3年生=の思いを形にした海岸清掃「ほんわかビーチクリーン」では、定期的に和歌山市の磯ノ浦海水浴場でごみ拾いをしている。


■リーフレットでPR

 こういった活動内容を知ってもらおうと、リーフレットを千部作り、県内自治体などに配っている。横山さんは「和歌山のためにやりたい思いがあるが、行動に移せなかったことを実現できる団体にしたい。活動によって地域の課題を解決したり、地元の人に地元の魅力を改めて知ってもらうきっかけになったりすればうれしい」と話す。

 横山さんは本年度で卒業。県内で就職するが、4月以降も代表として活動を続けるという。