和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

ダムで研修、紀南の良さ体感 首都圏企業の人事担当者ら

島田由香さん(右)と沢渡あまねさんの話を聴く参加者=13日、和歌山県みなべ町東神野川で
島田由香さん(右)と沢渡あまねさんの話を聴く参加者=13日、和歌山県みなべ町東神野川で
 和歌山にワーケーションを誘致しようと「日本ウェルビーイング推進協議会」などが企画した「和歌山Well―being Month(ウェルビーイングマンス)」の一環として13日、みなべ町東神野川の島ノ瀬ダムで「ウェルビーイング(良い状態)」に関するセミナーがあった。首都圏にある企業の人事担当者ら15人が参加し、ワーケーションの効果を聞いたり、ダムを見学したりして、紀南の魅力に触れた。


 ワーケーションとは、リゾート地や温泉地など普段の職場とは異なる場所で地域の魅力に触れながら仕事をすること。県が推進しており、2月中、南紀白浜空港と羽田空港を結ぶ臨時便が運航される機会に合わせ、県と南紀白浜空港利用促進実行委員会も共催して企画した。12~19日の8日間、田辺・西牟婁とみなべ町の各地でセミナーや体験イベントを開いている。

 13日は、「ダム際ワーキング」と「キャリア教育ワケーション」を開いた。島ノ瀬ダムでは、作家で企業や自治体などで働き方改革の支援をする沢渡あまねさんが、ワーケーションについて講演。趣味は「ダム巡り」だと言い「ワーケーションの場としてダムがいい。集中できる。全国にあり、カルチャーとして位置付けて発信していけばいい」と語った。仕事においてリフレッシュを取り入れないと能率が高まらないことも指摘し、ツアーを実施したところ「仕事への熱意や活力が高まった。不安感やイライラが減った」といった意見が聞かれたことを紹介した。「職場以外で居場所をつくり、活用することが、個人でも組織にとっても重要で、そこで自分が何者かを伝える力を身に付けるのが大事。同じ景色や場所、人とではそれが生まれない」とも語った。

 推進協議会代表理事の島田由香さんもワーケーションの効果について「ウェルビーイングが上がり、身体にいい。それは2、3カ月間維持する」などと説明。島ノ瀬ダムについては「春は桜がきれいで、あずまやがあり、すごくいい景色の中で仕事ができる」と語った。

 その後、参加者は島ノ瀬ダムを管理する南紀用水土地改良区の米澤強事務局長の案内で、発電設備を見学した。

 富士通(本社・東京都)の社員で、海南市で在宅勤務する50代女性は「県など自治体と関わって仕事をしている。和歌山は自然が豊かで、都市部からやって来るとリフレッシュできる。今日、ダムの良さも実感した。社内のSNS(交流サイト)を使って和歌山に来てもらえるよう発信したい」と話した。

 参加者はこの日、「キャリア教育ワーケーション」で田辺市学園の田辺高校を訪問。2年生36人と一緒に生き方や働き方について考えた。