和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月21日(木)

【動画】チャリティー上映に350人 串本町、「海難1890」でトルコ支援

トルコ地震の義援金を募るために串本町が開いた「海難1890」のチャリティー上映会(21日、和歌山県串本町串本で)
トルコ地震の義援金を募るために串本町が開いた「海難1890」のチャリティー上映会(21日、和歌山県串本町串本で)
オズテュルク総領事(右)に義援金1100万円の目録を渡す田嶋勝正町長
オズテュルク総領事(右)に義援金1100万円の目録を渡す田嶋勝正町長
 和歌山県串本町は21日、大規模地震が起きたトルコを支援しようと、友好のきっかけとなったトルコ軍艦エルトゥールル号遭難事故など日本とトルコの絆を描いた映画「海難1890」のチャリティー上映会を、同町串本の町文化センターで開いた。入場料として義援金を募る取り組みで、2回の上映に計約350人が来場。来場者は絆の歴史を再確認し、支援の思いを新たにしていた。


 日本とトルコの友好125周年に当たる2015年に公開された「海難1890」は、同町樫野沖で1890年に起きたエ号遭難事故の際に大島島民が不眠不休で救助に尽力したことや、1985年のイラン・イラク戦争時に在イラン邦人をトルコが救出した歴史を描いた映画。今回の上映会は、町が、映画の製作委員会や田中光敏監督、東映、オー・エンターテイメントジストシネマ南紀の協力で開催。義援金として一般は千円程度、高校生200円程度、中学生以下100円程度の協力を来場者に呼びかけたところ、約350人から45万30円が寄せられた。集まった義援金は全額、後日、在日トルコ大使館に届けるという。

■義援金1100万円渡す 来場の総領事に

 午後1時半からの上映では、田嶋勝正町長が「多くの皆さんにご参加いただき感謝申し上げます。田中監督から『この映画を上映して見ていただく中で、また義援金をお願いし、トルコとの長い歴史をもう一度知ってもらおう』というお話があり、この上映会を開催することになった。われわれの地域のおじいちゃんやおばあちゃんがこんなに頑張ってトルコの人たちを助けたんだと思ってもらえるよう、多くの子どもたちにも見てもらいたい」とあいさつ。会場に駆け付けた岸本周平知事も「和歌山とトルコの関係は非常に深いが、それも全て串本町民のご先祖の皆さまがつくってくださった絆。大地震で5万人以上の方が亡くなっている。明日はわが身で、人ごとではない。このチャリティーをきっかけにますます義援金を集めたいし、私たちも緊張感を持って備えたい」と呼びかけた。

 同町では、トルコ地震が発生した翌日の2月7日から募金箱を設けるなどして義援金への協力を呼びかけており、同月17日、田嶋町長らが東京にある在日トルコ大使館を訪問。15日までに寄せられた義援金1500万円をコルクット・ギュンゲン大使に届けている。

 この日は、その後に集まった義援金1100万円の目録を、田嶋町長が、大使の代理として来場したトルコ総領事館(名古屋市)のウムット・リュトフィ・オズテュルク総領事に手渡した。受け取った総領事は「困難な時期にそばにいてくれた串本町、日本の皆さんに感謝いたします」などと話した。

 続いて「今、巨大地震によりトルコで困っている人たちがたくさんいる。ぜひお力をお貸しください」などと呼びかける田中監督のビデオメッセージと映画を上映した。

 上映後、同町西向の女性(75)は「素晴らしい映画で、真心の大切さを改めて感じた。トルコの地震は人ごとではない。微力だけど、これからも支援したい」と話していた。