和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年10月10日(木)

音楽や料理で被災地支援 紀南からトルコ・シリア大地震

異国情緒あふれる音楽を奏でる「ウチヨル」の3人(和歌山県田辺市湊で)
異国情緒あふれる音楽を奏でる「ウチヨル」の3人(和歌山県田辺市湊で)
チャリティーイベントを開いたレジェップ・テリさん(左)=和歌山県白浜町で
チャリティーイベントを開いたレジェップ・テリさん(左)=和歌山県白浜町で
 トルコ・シリア大地震の被災者を支援するため、和歌山県紀南地方各地でチャリティーイベントが行われている。音楽や料理などが小さな行動を後押しし、多くの善意が集まっている。

■異国情緒ある音楽心に 田辺

 JR紀伊田辺駅前の田辺エンプラス(田辺市湊)で25日、地中海音楽を演奏するユニット「ウチヨル」によるチャリティーライブがあった。異国情緒あふれる音楽が響き、道行く人も足を止めて聞き入った。

 ウチヨルは中東の琴カーヌーンの増田真吾さんと葦笛(あしぶえ)ネイの阿部綾子さん、打楽器ダラブッカの近藤大貴さんの3人編成。オスマン古典音楽を中心に演奏している。

 「トルコと深い友好関係にある和歌山から被災地を支援しよう」と田辺市中辺路町で民宿を経営する萩原和弘さん(55)が、交流のある阿部さんに呼びかけ企画した。紀伊民報などが後援。

 中東の楽器は独特の音色だが、ピアノや尺八の「先祖」と言われ、聴衆からは「どこか懐かしさを感じる」との声も。ライブではテンポの速い曲が多く、リズムに乗せて体を揺らしながら演奏を楽しんでいた。

 大阪市から訪れた女性(38)は「中東の楽器に興味があった。生で聴けてうれしい。合奏でより魅力が深まった。私も演奏してみたい」と夢中になっていた。

 阿部さんは「日本とトルコの音楽は異なっているけれど、奥底には共通するものがあると感じる。音楽が支援の小さな波を起こし、それが広がればいい」と話した。

 集まった寄付金は国連UNHCR協会を通じ、被災地に届ける。

■母国へ寄付金 白浜

 白浜町にあるトルコ料理などを提供しているレストラン「BLUE BAR(ブルー バー)」でこのほど、チャリティーイベントがあった。来店者から集まった寄付金と売上金計36万414円を、在日トルコ共和国大使館に送った。

 店主のレジェップ・テリさん(40)はトルコ出身。来日して14年ほどで、白浜町に住んで約10年。ニュースで母国が大きな被害を受けていることを知り「少しでも役に立ちたい」とイベントを開いた。

 トルコで暮らすテリさんの親類は無事だったが、知り合いの祖父母が被害を受けたという。

 イベントの開催をSNS(交流サイト)などで呼びかけたところ、飲食客だけでなく、寄付金だけを届けに来る人もいるなど大勢の来場があった。

 テリさんは「小さなイベントで、こんなに多くの寄付金が集まるとは思っていなかった。心から感謝している」と話した。



 6日に発生した大地震により25日までに、トルコ・シリア両国合わせ5万人以上の死者が確認されている。

 和歌山県とトルコは、1890(明治23)年に、串本町の紀伊大島樫野崎沖でオスマントルコ軍艦エルトゥールル号が座礁した事故で、地元の人が懸命に救助したことが縁となって、友好関係が続いている。県内各地でさまざまな支援活動が行われている。