和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月27日(金)

双方の個性で新事業 大手企業と地元事業家コラボ

オンラインでの「ことこらぼ」成果発表会であいさつする真砂充敏市長(手前)=和歌山県田辺市役所で
オンラインでの「ことこらぼ」成果発表会であいさつする真砂充敏市長(手前)=和歌山県田辺市役所で
 大手企業の若手リーダーが業種・職種を超えて、和歌山県田辺市の事業家と地域課題解決に取り組むプログラムが人気を集めている。大手企業側は異なる環境で経験を積め、地元事業家も大手のノウハウを生かせる。双方の個性が合わさり、新事業も生まれている。

 日本能率協会マネジメントセンター(東京都)が、次世代リーダーを育成するプログラム「ことこらぼ」に、田辺市が協力し、年2回実施している。

 5回目となる今期は、大手企業7社の10人が、5人ずつに分かれ参加。まちづくり会社「南紀みらい」(湊)、農業会社「日向屋」(上芳養)とチームを組み、昨年10月から事業案を練ってきた。22日にオンラインで成果発表会があった。

 南紀みらいチームは、JR紀伊田辺駅前で運営する田辺エンプラスの営業黒字化を目標にアンテナショップの商品などを生かした「定額制仕送りサービス」を考案した。

 高校卒業後に地元を離れる若者が多いことに着目。1人暮らしの子に、親が地元産品の詰め合わせを定期的に送る仕組みで、市外の若者と家族、地元とのつながりをつくる。地元事業者の利益向上も見込め、営業利益は3年目に370万円と試算した。

 南紀みらいの尾崎弘和専務は「産品の詰め合わせは、南紀みらいの強み。市場調査で2割の需要があるということで、営業的にも成立する」と評価した。

 日向屋チームは、日向屋が生産するレモンを田辺の新しい名物「ひなたレモン」にするのが目標。販路の大半が観光客や県外になっていることから、地元へアプローチしようと、親子向けのワークショップの開催などを企画した。

 日向屋は耕作放棄地でレモンを育てたり、市場に出回らない傷ついたものも廃棄せず商品化したりしている。こうした取り組みを幅広い世代に知ってもらいファンを増やす。「私を和ませてくれるレモン」として浸透を図りたいという。

 日向屋の岡本和宜社長は「活動を理解してくれていて、納得のいくプランだった」と太鼓判を押した。

 発表を見守った真砂充敏市長は「さまざまな視点があって、毎回新たな気付きがある。成果ももちろんだが、異業種が越境して取り組むプロセスが大切」と講評した。