和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月27日(金)

空飛ぶクルマの実用化目指す 和歌山県内、万博も視野に

「空飛ぶクルマ」の和歌山県内実用化に向け、協定書に署名した岸本周平知事(手前)と長大の野本昌弘社長=1日、県庁で
「空飛ぶクルマ」の和歌山県内実用化に向け、協定書に署名した岸本周平知事(手前)と長大の野本昌弘社長=1日、県庁で
 次世代の乗り物として期待される「空飛ぶクルマ」について、和歌山県は県内での将来的な実用化に向け、取り組みを進める。岸本周平知事は「夢のある話で、非常に大きなチャンスだと思う」と話し、1日に関係企業と連携協定を締結した。2025年の大阪・関西万博で会場と県内を結ぶことも目指すという。

 空飛ぶクルマは垂直に離着陸する航空機。交通の便が悪い地域での移動や、観光、災害時の孤立集落の支援などの活用が期待される。離着陸場は、充電設備が必要だが、斜めに離着陸するヘリコプターより、整備しやすいなどの長所がある。

 県が協定を結んだのは建設コンサルタント「長大」(本社・東京都)。野本昌弘社長と岸本周平知事が県庁で協定書に署名した。同社は国の「空の移動革命に向けた官民協議会」のメンバーで、交通システム開発や構造物設計などを手がけてきたノウハウを生かし「空飛ぶクルマ」の実用化に向けた取り組みを進めている。

 県内での実用化に向けた実証実験では、離着陸場を2カ所以上設置する。岸本知事はまだ決まっていないとした上で、候補地の例として南紀白浜空港跡地(白浜町)を挙げている。観光かビジネスかといった用途や需要の見込み、使用する機体のバッテリーの大きさなどを考慮し、今後県と同社が具体的に検討する。

 協定締結式後、野本社長は「万博では実証飛行を考えている。県と協議の上の話だが、うまくいけば万博での本格的な実用化に向けた取り組みも可能ではないか。技術的には問題はない」と話した。