和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

田辺市で災害対策技術学ぶ 9カ国からJICA研修員

避難タワーを視察する9カ国から訪れた技術者たち(和歌山県田辺市芳養松原1丁目で)
避難タワーを視察する9カ国から訪れた技術者たち(和歌山県田辺市芳養松原1丁目で)
 国際協力機構(JICA)の研修員10人がこのほど、和歌山県田辺市芳養松原1丁目の津波避難タワーを視察した。10人はアルジェリアやインドなど9カ国から訪れた技術者で、10月から約2カ月間、各地で日本の防災対策技術について学んでいる。


 JICA関西が実施している研修「インフラ施設(河川・道路・港湾)災害対策とマネジメント」の一環。市内では津波避難タワーの視察のほか、市役所で津波対策についての講義を受けたり、田辺西バイパス芳養井原地区の斜面避難路を視察したりした。

 避難タワーは市が2019年に建設した。高さ9・7メートルの鉄骨構造で、最大級の地震で予想される浸水深より3・4メートル高い。

 研修員は、一番上まで上る際に時間を計ったり、動画や写真を撮影したりした。チリから来たアドルフォさん(47)は「母国もかつて津波と地震で大きな被害を受けた。ビルを耐震性にしたり、都市計画ではハザードマップを作ったり。日本と似ている部分も多いが、避難タワーはない。高齢の方にとって、とても重要だと思う」と話した。

 ホンジュラスから訪れたファビオラさん(37)は「ホンジュラスでは津波がない。豪雨による土砂崩れが多く、堤防を造るなどの対策はしているが十分ではない。避難タワーは、過去の経験やデータを基に造られている上に、備品が整っていたり、きれいだったりと素晴らしい」と称賛した。