和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

山間部で鯛釣り神事 古座川町の神玉神社で例祭

板で作った鯛を釣り上げる野口貢盟総代長(和歌山県古座川町小森川で)
板で作った鯛を釣り上げる野口貢盟総代長(和歌山県古座川町小森川で)
 和歌山県古座川町小森川の神玉神社(井谷正守宮司)で5日、例祭があり、氏子や例祭の運営に協力している人ら参拝した全員が、鯛(たい)釣りなどのユニークな神事に参加した。平日だったが50人以上が参拝し、無病息災などを祈願した。

 小森川地区は県の名勝・天然記念物「滝の拝」から古座川の支流・小川に沿って上流へ約13キロ進んだ所。かつては民家が15戸ほどあったが、今は1戸と過疎が進んでいる。

 この日は古座神社の石田保宮司(62)が井谷宮司の代理を務めた。例祭は関係者がほら貝を吹いて始まり、石田宮司が湯立神事をして祝詞を奏上。参拝者が次々と玉串を供えた後、「鯛釣り」「鳥追い」「芋洗い」「猿追い」の各神事が営まれた。

 鯛釣り神事では、小森川地区出身で総代長の野口貢盟さん(60)=串本町潮岬=がさおを持ち、針に鯛の形をした板を参拝者に付けてもらった。最後に「赤鯛を9匹、白鯛を9匹、黒鯛を9匹、計27匹釣りました」と言うと、境内に集まった参拝者らが「大漁、大漁」と声をそろえた。

 例祭は地区出身者やその家族、ボランティアらが協力して営んでいる。関係者らの声掛けで参拝者は増えており、カメラを持った若者らの姿も見られた。

 海から遠く離れた地区で鯛釣りなど独特の神事が営まれている理由については不明だが、「修験系の祭礼」「恵比寿大黒天信仰との関連」など、幾つかの見方が考えられている。