和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月21日(土)

コロナ禍3年目も縮小傾向 田辺西牟婁の秋祭り

野中の獅子舞(2019年撮影)
野中の獅子舞(2019年撮影)
 獅子舞やみこしで地域が華やぐ秋祭りの季節が近づいてきた。しかし、新型コロナウイルスの影響で和歌山県田辺・西牟婁では、3年連続で中止や規模の縮小を決める神社が多い。「伝統を絶やしたくない」「感染を広げられない」。県無形民俗文化財の秋祭りも対応が分かれている。


 毎年11月3日に田辺市下川下にある春日神社の例大祭で披露される「上野の獅子舞」は、3年ぶりに復活する方針。獅子舞保存会のメンバーで話し合って決めた。

 会長の湯川剛さん(55)は「絶やすわけにいかないし、『今年は獅子舞を見たい』という声ももらっていた」と理由を話す。感染状況をぎりぎりまで見極めることにしているが、10月から練習を始めるという。

 神社近くのグラウンドで同日開催していた「ふる里富里まつり」(実行委員会主催)は中止という。

 同じ11月3日に、例年なら同市中辺路町の近露や野中で奉納される「野中の獅子舞」は、今年も中止の見込みで、神事だけを営む。

 近野獅子舞団代表の岡上哲三さん(76)は「今年こそはという思いはあったが、もしものことを考えると仕方ない。2年も空いてしまうと『やり方を忘れた』という声もあるが、練習したら思い出す」と話した。

 11月23日に上富田町岡の八上神社で奉納される「岡の獅子舞」は、3年ぶりに実施の方向で検討しているが、どのような形にするかは当日ぎりぎりまで状況を見て、判断したいという。

 11月3日にある田辺市中芳養の芳養八幡神社の秋祭りは、流鏑馬(やぶさめ)や駆け馬などを中止するが、昨年より営む行事を増やす。同日に同市長野である「住吉踊」は縮小。11月14、15日に白浜町堅田である「堅田祭」も詳細は未定だが縮小の見通しという。


■10月の主な祭り

 10月に田辺・西牟婁で予定している主な秋祭りの動向は次の通り。

 9日にある芳養大神社(田辺市芳養松原1丁目)の例祭、王子神社(すさみ町周参見)の例祭は神事のみ。10日の日出神社(白浜町日置)の例祭は規模を縮小するが、昨年より行事を増やす予定。

 12、13日に春日神社(上富田町市ノ瀬)である奉納芝居は、3年ぶりに実施予定。すでに練習を始めているという。10~12日の杵荒(きなら)神社(田辺市中辺路町栗栖川)の奉納芝居は中止する。

 17日の蟻通神社(田辺市湊)の例祭、熊野三所神社(白浜町)の例祭は、規模を縮小するが、昨年より行事を増やす。