和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

秋祭り3年連続縮小 みなべ町の鹿島や須賀神社

規模を縮小して営まれた鹿島神社の例大祭で、巫女の舞を奉納する高校生(昨年10月、和歌山県みなべ町埴田で)
規模を縮小して営まれた鹿島神社の例大祭で、巫女の舞を奉納する高校生(昨年10月、和歌山県みなべ町埴田で)
 新型コロナウイルスの影響を受け、今年も和歌山県みなべ町内の秋祭りは、規模を縮小することが相次いで決まっている。とりわけ鹿島神社(みなべ町埴田)は、舟だんじりの半世紀ぶりの復活を目指して準備していただけに関係者らは残念がっている。縮小は3年連続ということもあり、各神社では祭りの継承や住民の交流に影響しないか心配する声が上がっている。


 鹿島神社の今年の例大祭は10月16日で、恒例の渡御や獅子舞の奉納はせずに、神前式のみ執り行うという。参列者は総代など神社関係者だけで少人数にする予定。

 舟だんじりのお披露目は、壊れていた車輪を修復したり、彩色を施したりして2020年の例大祭でする予定だったが、新型コロナにより先送りになっている。今年こそはと準備を進め、渡御の際に歌う御舟歌を串本町古座地区の御舟歌保存団体「河内会」に教わるなどしてきたが、渡御はしないことになった。渡御に3年に1度参加する「南道の奴行列」と「芝崎のふとん太鼓」も今年、参加が予定されていたが、それも見られない。

 神社総代長の葛城知則さん(83)は「3年連続の縮小は誠に残念。なんとかやりたいと思ったが、新型コロナの状況を考えればやむを得ない。来年は盛大に執り行いたい」と話す。

 須賀神社(同町西本庄)の今年の秋祭りは、10月8、9の両日。今年も役員や総代、神社関係者が出席しての神前神事だけになる。本来なら宵宮の8日に「競べ馬」、本宮の9日にはお渡りや「駆け馬」が繰り広げられるが、いずれも中止する。女子中学生による巫女(みこ)の舞は、昨年に続いて奉納する予定。

 秋祭り保存会の硲恭弘会長(77)は「文化財を継承するためにも今年こそはなんとか開きたいと思っていたが、これだけ感染者が増えるとやむを得ない。残念だ」と語る。「祭りは地域の一大イベント。一体感を保つために重要な役割を果たしており、こう長くできないと心配する」と言い、来年こそ従来の祭りができることを期待する。

 西岩代八幡神社と東岩代八幡神社の秋祭りは10月9日。いずれも県無形民俗文化財に指定されている子踊りや獅子舞の奉納は3年連続でせず、渡御と神前式のみ営む。

 11月13日に営む日吉神社(同町堺)の秋祭りも、獅子舞の奉納やお渡りなどはせず、神事のみ執り行う。3年連続になる。

 一方、10月23日に営む高城天宝神社と11月6日の清川天宝神社の秋祭りは、どのような形で営むか現時点で決まっていない。いずれも過去2年間、お渡りや獅子舞の奉納はなく、総代や区長らが参列しての神事のみ執り行った。関係者からは「継承のため何らかの形でしたいが、難しいかもしれない」という声も出ている。