和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月21日(土)

ミカン栽培で本音トーク 田辺市の4農家

ミカンについて掘り下げてトークする4人の農家と紀南アートウイークの藪本雄登さん(左端)=和歌山県田辺市上秋津で
ミカンについて掘り下げてトークする4人の農家と紀南アートウイークの藪本雄登さん(左端)=和歌山県田辺市上秋津で
 紀南アートウイーク実行委員会はこのほど、和歌山県田辺市上秋津の秋津野ガルテンで、農家とミカンについて掘り下げるトークイベントを開いた。参加した4人の農家は「割に合わない仕事だけれど、こだわりがある」と現場の本音を語り合った。


 参加したのはいずれも田辺市の農家で、下万呂の小谷大蔵さん(42)と鈴木秀教さん(36)、上秋津の野久保太一郎さん(48)、上芳養の松下真之さん(34)。聞き手はミカンと芸術の関係を研究している実行委の藪本雄登委員長(34)が務めた。

 糖度の高さが値段の基準になっている現状について、野久保さんは「基準には糖度だけでなく食味もある。何を追求するか思想の違いが出る。スーパーは糖度が基準だけれど、直売所は生産者の名前がブランドになる」と述べた。

 「栽培技術の伝承に生産地間の横のつながりはあるか」の問いには、小谷さんが「他地域をライバル視するところはある」とつながりの薄さを指摘した上で、「土地の違いも大きい。同じことをしても通用しない。技術の汎用性がない部分もある」と話した。

 松下さんはたびたび仕事の厳しさに触れたが「ミカン作りにはこだわりがある。うちの農園は祖父の代から始まり、今がある。生産量が減ってもゼロにはしたくない」と力を込めた。

 鈴木さんは「ミカンは物心ついた時から当たり前にある。ないという生活がない。体の一部ではないけれど、家の一部」と笑った。

 小谷さんは「横に根を伸ばしていけば、いろいろな人につながる」、野久保さんも「僕と他人の世界をつなげる重要なアイテム」とミカン作りがライフワークと言い切った。

 紀南アートウイークのホームページでは、トークイベントの動画を公開している。