和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

コロナ下の開幕へ期待と不安 田辺祭

地区の会館に人形などを飾る住民(23日、和歌山県田辺市南新町で)
地区の会館に人形などを飾る住民(23日、和歌山県田辺市南新町で)
衣笠を組み立てる紺屋町の住民ら(23日、和歌山県田辺市紺屋町で)
衣笠を組み立てる紺屋町の住民ら(23日、和歌山県田辺市紺屋町で)
 和歌山県田辺市東陽の世界遺産・闘雞神社の例大祭「田辺祭」は、新型コロナウイルスの新規感染者が急増する中で24日に始まる。関係者が暑さだけでなく感染症対策にも気を配る中、市街地の一大イベントの幕が開く。


 田辺祭は県の無形民俗文化財。和歌山市の「和歌祭」、紀の川市の「粉河祭」とともに、紀州三大祭りと言われている。一部の神事のみとした昨年、一昨年と異なり、3年ぶりに復活する神事や祭事もある。

 笠鉾(かさほこ)や衣笠(きぬがさ)を持つ地区では、住民らが感染対策をした上で参加する。

 南新町では、笠鉾を出すことを急きょ断念した。感染の急拡大を踏まえ、22日午後に役員らが話し合って決めたという。

 祭典委員長の歯科医、初山昌平さん(64)=田辺市新万=は「田辺祭で組み立てたのは3年前が最後。今年を楽しみにしていたが、これだけ感染が広がってしまうと致し方ない」と話した。

 地区の会館では23日、住民が、笠鉾に乗せる人形4体やお供え物を並べて「お宿」を設営した。

 紺屋町は同日、高さ約4メートル、重さ30キロほどの衣笠を組み立てた。午後6時から町内を巡行する。

 巡行の際は、住民が衣笠の中に入って持ち手の部分に触れて健康を祈願する。

 町内会長の鈴木享治さん(71)は「例年のようにはできないが、伝えていかないと途切れてしまう可能性がある。開催できてよかった」と話した。

 千葉県出身で、地区出身の妻との結婚を機に移り住んだ澤井将浩さん(37)=田辺市東陽=は「3歳と5歳の子どもに、祭りへ参加する姿をやっと見せられる」と笑顔を見せた。