和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

アサギマダラの飛来期待 龍神の休耕田にフジバカマ園

殿原の住民有志が整備した「ふじばかま園」(和歌山県田辺市龍神村殿原で)
殿原の住民有志が整備した「ふじばかま園」(和歌山県田辺市龍神村殿原で)
4月の苗植えに参加した殿原環境美化グループのメンバー
4月の苗植えに参加した殿原環境美化グループのメンバー
 和歌山県田辺市龍神村殿原の有志でつくる「殿原環境美化グループ」は、長距離を移動して「旅するチョウ」として知られるアサギマダラ(タテハチョウ科)が好むフジバカマ(キク科)の苗約200本を植えて「ふじばかま園」を設けた。グループは、アサギマダラが訪れる地域の新しい見どころになればと期待している。


 グループの代表は、自宅のガレージを改造して近隣住民の交流の場「小町茶屋」を設けている杉本町子さん(72)。グループには70代~80代の有志10人が参加している。

 杉本さんは2020年春、アサギマダラが飛び交うまちにしようと取り組んでいる、上富田町の住民有志でつくる「一瀬里山会」と「DARUMA Club(ダルマクラブ)」からフジバカマの苗を分けてもらい、自宅の庭に植えた。すると、その年から毎秋アサギマダラが訪れるようになったという。

 そこで、もっとたくさんのアサギマダラが来るようにと、休耕田を活用してフジバカマ園にすることを計画。住民有志に手伝ってもらい、草引きなどをして荒れていた休耕田を整備した。「一瀬里山会」と「DARUMA CLUB」に分けてもらった苗と自分たちで育てた苗を4月と5月に植えた。

 園には手作りの看板を立てたほか、隣接する休耕田も整備してコスモスやヒマワリなどの花を植えている。

 メンバーの一人で、看板を製作した農業の宮脇稔さん(86)は「先人が作った田んぼを活用することにも意義がある。たくさんのアサギマダラに来てもらい、殿原のにぎわいにつながれば」。杉本さんは「お年寄りが多く人口も少なくなってきており、地域に人を呼び込むことをしたいといつも考えている。多くの人に、きれいなアサギマダラを見に来ていただけたらうれしい」と話している。